1月15日〜16日に決勝レースが行われたダンロップ・ドバイ24時間耐久レースは、BMW Z4 GT3で参戦するドイツのシューベルト・モータースポーツが念願の初優勝を飾った。
ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニなどに加え、メルセデスベンツSLS AMG GT3など注目のニューマシンも登場した今年のドバイ24時間。激戦を制したのは、昨年までWTCCのBMWチームRBMのワークスドライバーを勤め、シュニッツァーのM3でニュルブルクリンク24時間レースの総合優勝を飾ったアウグスト・ファルファス、“ニュルで一番速い女”と呼ばれBMWのスペシャリストとして活躍するクラウディア・ヒュルトゲン、VLNやADAC GTマスターズでZ4 GT3をドライブしているエドワード・サンドストローム、そしてALMSにレイホール・レターマンのM3 GT2で参戦するトミー・ミルナーと豪華なドライバーラインアップで臨んだシューベルト・モータースポーツのZ4 GT3だった。
シューベルトのBMW Z4 GT3は594周、20回のピットストップを経て見事総合優勝。以下、3周差で2位はLMSやル・マン24時間で常連のAFコルセのフェラーリF430 GT2、3位はメルセデスのGT3開発プログラムチームのブラックファルコンが走らせるメルセデスベンツSLS AMG GT3が続いた。
6番手からのスタートとなったシューベルト・モータースポーツの76号車は、スタートをヒュルトゲンが担いコンスタントに追い上げ、レース開始2時間過ぎで独走態勢となった。その後、何度かのピットインで少しのポジション交代があったものの、F430とSLSの懸命な追い上げに屈することなくゴールした。
BMW Z4 GT3をBMWモータースポーツと共に開発するエンジニアであり、チームマネージャーを務めるシューベルトのシュテファン・ヴェンデルは「非常にハードな戦いだったが、やっと勝つことができた。スタート後の2ラップで優勝を期待する予感が既にあったが、24時間レースは長い戦いなのでリスクを犯さないように慎重に挑んだ」と喜びを噛み締めた。
また、スタートを担った紅一点のヒュルトゲンは「2年前は優勝を目前にしたレース終了間際にクラッシュしてリタイアしてしまい、去年は3位だったのでやっと優勝することができた。言葉にならないくらいに嬉しい」とコメントしている。
シューベルトのセカンドカーである77号車は、木曜の予選中にクラッシュし、その修理のためにチームは徹夜のままスタートを迎えた。77号車はレース中盤に他車のクラッシュに巻き込まれるも総合5位に入賞していることもあり、シューベルト・モータースポーツにとっては悲願の優勝だったと言えるであろう。
シューベルト・モータースポーツは、VLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)やニュル24時間、FIA GT3に参戦し、オッシャースレーベンのサーキット近くにワークショップを構えるチーム。1月28〜29日にライプチヒで開催されるカートの24時間レースへの参戦は毎年恒例となっており、このレースでも優勝を狙い毎年意地を掛けて戦っているクレイジーなチームでもある。去年は優勝しただけに、今年は2連勝を狙っているとのこと。ニュルでは熱烈なシューベルトファン達がおり、ニュルにはなくてはならない存在だ。