更新日: 2018.02.16 03:40
ピレリ「タイトなターン1はリヤに大きな負荷」
タイヤから見たドイツGP
2011年7月21日、ニュルブルクリンク
ニュルブルクリンクとはモータースポーツにおける伝説的な名前であり、現在では幅広い速度域とコーナーを有する現代的なサーキットとなっています。
過去、ニュルブルクリンクはピレリにとって成功に満ちた場所であり、グランプリサーキットと壮大なノルドシュライフェの両方を使う24時間耐久レースでも様々なクラスで優勝を果たしています。しかし60周で争われるグランプリはそれらとは異なるチャレンジとなるでしょう。特に不安定な天候がそれに拍車をかけます。
サーキット概要:
スタート・フィニッシュラインを駆け抜けると、まず最初にヘビーブレーキングとともにコンプレックスに入っていきます。この際、ブレーキによって生じる全てのエネルギーをタイヤが受け止めます。タイトなターン1からの立ち上がりでは、加速時にリアが流れやすく、リアタイヤに大きな負荷がかかります。ここがこのサーキットで速いラップタイムを記録するためのカギになる最もテクニカルな箇所であり、グリップとトラクションの絶妙なバランスが必要となる場面です。
コンプレックスを抜けると各車は加速してシフトアップしていき、ターン5・6のヘビーブレーキングを迎えます。左、右と切り返すダウンヒルのコーナーで、フロントのグリップを失いやすい箇所になります。アウト側の縁石を使ってさらなるグリップを得て、コーナーを抜けて行くことになります。
ターン7では5Gもの減速Gがかかり、タイヤには大きな負荷がかかります。このコーナーには非常に大きなキャンバー角がついているため、左フロントタイヤは大きなスリップアングルでグリップを発生させることになります。これによってアンダーステアを抑え、正確なライン取りを実現するのです。
サーキットの終盤は高速のセクションで、ドライバーはエンジンパワーを最大限に発生させるためにKERSを使用し、最高速は300km/hに達するでしょう。キーポイントはNGKシケインです。シケインへと進入するブレーキングゾーンにはオーバーテイクのチャンスがあり、シケインでは縁石を使って駆け抜けなければなりません。その衝撃がタイヤのショルダーに大きな負荷をかけ、カーカスには局地的に800kg以上の力がかかることになります。
最後の右コーナーであるターン15は非常に長いコーナーです。ドライバー達はここでもアウト側の縁石を使いメインストレートへと入っていきます。
ここに挙げた以外のコーナーはおおむね中速コーナーです。流れを止めるのは3つのヘビーブレーキングだけで、良い流れのあるサーキットだと言えます。ピレリのテストドライバーを務めるルーカス・ディ・グラッシは「つながりのあるコーナーの連続が多くて、ひとつをミスすれば全体がダメになってしまう。そのため、かなりきちんと正確にまとめなければならない。それができれば、速く走れるだけではなくタイヤをいたわることにもなる。セットアップのカギは、切り返しのしやすいクルマに仕上げることだ」と説明しています。
ニック・ハイドフェルド、ドイツでピレリのメディアイベントを訪問:
ロータス・ルノーのニック・ハイドフェルドは、ニュルブルクリンクに隣接するドリント・ホテルで本日行なわれたピレリ主催のメディア昼食会に出席しました。ドイツGP直前に行われたこの昼食会では、ピレリ・ドイツのマネージング・ダイレクターであるミハエル・シュウォーベルと、モータースポーツ・ダイレクターのポール・ヘンベリーがホストを務めました。
ピレリの最初のテストドライバーであり、その後ザウバー、ロータス・ルノーで参戦しているハイドフェルドは、次のように語っています。「ピレリでタイヤ開発を担当したのは短い期間ではあったけど、その時のことを思い返してみても、素晴らしい経験だったよ。素晴らしい仕事ができるという確信は常にあったしね」
ハイドフェルドは2010年の8月にイタリアのムジェロで行なわれた初テストでもステアリングを握り、ピレリPZeroタイヤの初期テストを全て担当しました。主にタイヤのコンストラクションのテストを担当し、その後はコンパウンドの開発作業にも携わりました。
新しいピレリPZeroタイヤは、観る側にとっても楽しいものであると同時に、運転する側にとっても楽しいタイヤだと語ったハイドフェルドは、「今年は間違いなくスペクタクルなレースになっている。オーバーテイクも増えたし、ドライバーだって誰もが楽しく運転している。素晴らしいことだよ」とコメントしています。
会場ではニュルブルクリンクを1周する3D映像が上映され、ハイドフェルドが解説を加えました。彼は2005年にこの地でポールポジションを獲得し2位でフィニッシュしています。このサーキットを知り尽くしている人物です。