更新日: 2018.02.16 13:26
マセラティのエンジン音にバイオリン名器と共通点
Maserati Japan Ltd.
http://www.maserati.co.jp
2012年12月20日
エンジン音が名器ストラディヴァリウスと共通点
― マセラティサウンドの魅力を科学的に証明 ―
マセラティ ジャパン株式会社
マセラティ ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役:ファブリッツィオ・カッツォーリ)は、このほど、マセラティモデルのエンジン音に関する科学的な分析を初めて実施しました。その結果、マセラティのエンジン加速音とヴァイオリンの名器として知られる“ストラディヴァリウス"※1 の演奏音とに主観、客観、物理評価において共通点があることが明らかになりました。
この分析のきっかけとなったのは、工業製品音の研究・デザインを手がけるサウンドデザインラボ合同会社(静岡県磐田市、代表:前田 修)と中央大学理工学部 音響システム研究室(東京都文京区、教授:戸井 武司)が共同で実施した「エンジン音快適化プロジェクト」(2012 年7 月発表※2)の「エンジン音と弦楽器の音には共通点が多い」という調査結果でした。マセラティ ジャパンでは、これまで感覚的にだけ捉えられていたマセラティのエンジンサウンドの魅力の秘密を解明するため、さらに詳細な実験を両者に依頼しました。分析実験は、加速音(対象モデル:「マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S アワード・エディション」)とヴァイオリンを含む5 種類の管弦楽器について、聴音時の印象を調べる「音響心理実験(主観評価)」、ストレス負荷と脳活性の変化を調べる「生体情報計測実験(客観評価)」、「周波数分析(物理評価)」によって行われました。また併せて、価格帯の異なる4種類のヴァイオリンについても同様の評価を行いました。
この結果、マセラティの加速音とストラディヴァリウスの演奏音には、以下3つの共通点があり、これまで多くの方々から高い評価を得ている“マセラティサウンド"が、ヴァイオリンの至宝であるストラディヴァリウスと類似点があることが科学的に明らかになりました。
◆迫力があり、創造力をかき立てる。(主観評価)
◆脳を活性化させる効果がある。(客観評価)
◆音響特性として、明瞭な整数次倍音※3がある。(物理評価)
マセラティ ジャパンは、このたび明らかになった楽器との共通性というエビデンスを、より多くの方と共有できるよう、専用サイト「Sensory Driving Project」(URL:http://www.maseratisensory.jp)を開設しました。マセラティエンジン音とストラディヴァリウスの音色の聴き比べをぜひお試しください。
これからのクルマ社会や環境を考える上で、エンジン音がもたらす心理的・生理的な効果は非常に重要なファクターです。マセラティ ジャパンでは、今回の実験結果を新たな価値として、“快音を奏でるマセラティサウンド"の魅力を今後さまざまな形でユーザーの皆様にお届けしてまいります。
◆ファブリッツィオ・カッツォーリ マセラティ ジャパン(株)代表取締役コメント
このプロジェクトは、マセラティの魅力を五感を通して知っていただくための取り組みです。マセラティは、スペックだけで語れるクルマではありません。感覚に訴え、感情を揺さぶり、魂をインスパイアする――。このマセラティの数値にできない魅力を、なんとか分かりやすく証明できないものかと考えていました。今回、マセラティの魅力を語るうえで欠くことのできないエンジン音について、各方面の協力のもとに調査、分析を行いました。とても日本らしい独創的で繊細なその研究とそこから導かれた結果は、私としても驚くべきものでした。ともにイタリアから生まれたヴァイオリンの名器“ストラディヴァリウス"とマセラティが実は多くの共通点を持っていたのです。
今回のプロジェクトを通じてマセラティの魅力をより多くの方に感じていただければと思います。
※1 今回の実験に使用されたヴァイオリンは、「Romanoff(ロマノフ)」(アントニオ・ストラディヴァリウス/1731 年製).です。
※2 分析実験の詳細は下記ホームページをご覧ください。
http://www.sound-design-lab.com/Column/maseratisound1.html
※3 倍音…基の音に対して数倍の周波数で発せられる音。倍音がバランスよく含まれていると快適な音であるといわれています。
〔参考資料〕
■今回の分析実験結果について
サウンドデザインラボ合同会社/前田修代表
長い歴史とともに美しい音を追求してきた弦楽器と、一般的に騒音と見なされてきた自動車のエンジン音。今回、このふたつに共通点があることを多角的な実験で証明できたのは、学術的に非常に大きな意味があります。自動車のエンジン音研究において、楽器のようにどんな人にとっても心地良く感じられるようなエンジン音の開発が今後進めば、より快適な生活の実現へとつながる可能性を秘めています。
中央大学理工学部 音響システム研究室/戸井武司教授
私自身の研究では、“すべてのものが楽器のように音を奏でる"ことを理想としています。一方で、音の研究は、人の好みが大きく影響することがあり、そのため物理的な音分析だけでなく、心理的、生理的な実験が必要になります。今回の分析実験では、物理的な「倍音」の共通性のほか、心理的、生理的な実験でもいくつかの共通点が見いだせたことは、非常に興味深いと思います。
■実験内容について
今回の実験では、以下の通りの分析を行いました。
[分析1]マセラティの加速音の把握
(1)音響心理実験(SD 法※)に基づく主観評価
形容詞対を用いた感性アンケートによるエンジン音の主観評価。※意味微分法:感性ワードを用いたアンケートによる感性測定法
(2)生体情報(心電波形及び脳血流)計測実験に基づく客観評価
マセラティの加速音と他社製自動車の加速音を聞いた時の心電波形と前頭前野の脳血流量の変化の比較。
(3)周波数分析による物理評価
各音源の周波数スペクトルのグラフ(スペクトログラム)による比較。
[分析2]マセラティの加速音と楽器音の比較
上記[分析1]の評価と弦楽器(ヴァイオリン、コントラバス、チェロ)、管楽器(トロンボーン、オーボエ)で自動車加速音を模擬した場合の(1)~(3)の評価。
[分析3]価格帯の異なるヴァイオリン4 種の(1)~(3)による比較
[分析4]マセラティの加速音と価格帯の異なるヴァイオリンとの比較
分析の結果、マセラティの加速音は、クリエイティブ因子、迫力因子、スピード因子が高く(主観評価)、他車加速音に比べ脳を活性化させることがわかりました(客観評価)。またスペクトログラム比較に基づき(物理評価)、高次倍音が明瞭であるとの結果が得られました。
また楽器との比較分析では、主観評価、脳血流量の変化を調べた客観評価、および物理評価において、ヴァイオリンとマセラティの加速音に近い値が示されました。
次に、価格帯の異なるヴァイオリンを用いた比較では、価格が高いほど、高次倍音が明瞭で、(明瞭であるため)快適な印象を受け(主観評価)、脳を活性化させる(客観評価)ことがわかりました。この結果が顕著に表れたのは、比較対象のなかで最高価の“ストラディヴァリウス"でした。また、ヴァイオリンとマセラティの加速音のスペクトルの類似性について相関係数を用いて調べたところ、ストラディヴァリウスの音は他のヴァイオリンよりもマセラティの加速音との相関が高い(物理評価)ことがわかりました。
以上の結果から、マセラティの加速音とヴァイオリンは今回実施した3つの評価全てにおいて共通性を示し、なかでもストラディヴァリウスは、脳の活性化や高次倍音の明瞭さにおいて相関が高いことが明らかになりました。
<参考文献>花輪和人,相澤快,有光哲彦,戸井武司:主観及び客観評価に基づく自動車加速音と楽器音の類似性の把握,日本音響学会講演論文集,pp.1595-1596(2012.9)