ミルウォーキーで開催されるIZODインディカー・シリーズ第8戦。15日に行われた予選では、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)が今季初となるポールポジションを獲得し、ホンダエンジンが3戦連続のポールポジションを奪った。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は14番手だった。
伝統ある1マイル・オーバルでの予選は、フランキッティの今季初ポールポジションという結果となった。彼は2周の平均時速168.737マイルを記録した。キャリア27回目のポールだ。
フランキッティは25台出場中の22人目のアタッカーだった。彼らのマシンセッティングとドライビングの両方が素晴らしかったことは確かだが、アタック順の遅さが幸運を呼んだ可能性はある。予選中盤から太陽に薄い雲がかかっており、路面温度が下がっていた。
「ポールポジションは嬉しいと同時に驚きだ!」とフランキッティ。決勝セッティング重視でプラクティスでは15番手につけるタイムしか出せていなかったが、予選で最良の結果を手に入れた。「プラクティスと予選は別物。そして、予選とレースもまた別物だ」と彼は語ったが、去年の優勝もポールスタートから飾ったものだった。
予選2番手はジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)のものとなった。彼は17番目のアタッカーで、テキサスでのオーバル初優勝に続いて、今度はオーバルでの初ポール獲得なるかと思われたが、2周の合計で0.1157秒という僅差によりフランキッティには届かなかった。
「自信が大きな助けになっていた」とウィルソン。テキサスでの勝利を指してのコメントだ。「我々のマシンに対する理解度が高まっている。そう感じることができた。今後もコツコツとマシンを少しずつでも良くして行きたい」と語る。
3番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)、4番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。
そして5番手には、ルーベンス・バリチェロ(KVRT)が食い込んだ。インディカーでの予選で初めてトップ5入りを果たすのがショートオーバルになるとは、元F1スターも自分で驚いていることだろう。彼より7人先に走ったチームメイトのトニー・カナーンが路面の状況などを伝え、走行中のマシン調整などに対してのアドバイスしていた。
「最高に嬉しい!」とバリチェロは大喜びだった。「今週は走行開始からマシンのフィーリングが良く、コースを全開のまま走れていた。ミルウォーキーには、実は観客として何度か来たことがあるんだ。そして、テストで数週間前に来た。今日は何もかもがテスト時より良く感じた」と語る。
予選結果だけを見るとホンダの1-2だが、ウィルソンはミルウォーキーを迎える前にエンジン交換を行っているので10グリッド降格。それは予選4番手だったパワー、予選7番手だったジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)らも同様で、その結果、明日のスターティング・グリッドは、トップこそフランキッティだが、彼は5台のシボレーユーザーに後方を固められ、孤軍奮闘を強いられる。
ホンダで次の上位スターティング・グリッドとなるのは、7番手からスタートするルーキーのサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン・レーシング)だ。インディ500から3連勝中のホンダだが、さらに連勝を伸ばしてシボレーと勝ち星で並ぶ事ができるか?
佐藤琢磨は予選14番手となった。プラクティス1で9番手、プラクティス2で11番手につけていたが、このオーバルにテストで来ていないマイナスはカバーできなかった。テキサス後のアイオワでのテストにも琢磨陣営は参加できず、ショート・オーバル用マシンのデータ収集ではライバルに大きく水を開けられた状態でのミルウォーキー入りとなっていたのだ。
予選前に得たデータで何とかマシンをセッティングしたが、グリップが足りずにターン4でマシンが大きくスライドしていた。「テストに来ていない自分たちとしては、今日のプラクティスでは時間が十分ではなかった。試したいことをすべてトライできなかった。もっと時間が要りますね。今日の予選でのマシンセッティングは残念ながら少々未完成でした。スピードを求めた結果、マシンがオーバーステアが少し出す状態になっていました」と琢磨は悔しがっていた。好きなコースだけに、思う存分に走れない状態が悔しいのだ。
しかし明日のレースに向けては、「マシンを進歩させることはできている。もう一度、今晩データをジックリ見て、良いところを引き出したマシンにする」と意欲を見せた。60周程度は走れる状況か、タイヤのグリップは10周もすれば落ち始め、さらにドライビングは難しくなって行く。スティント後半のコントロール力が勝負を決める。琢磨はそこに勝機を見出そうとしているのだ。