夜の帳が下りたフランス、サルテサーキット。第77回ル・マン24時間レースは、ようやく3分の1を消化しようかという所に差しかかっている。スタート直後から波乱が立て続けに起こった今回のレースだが、3時間を過ぎたあたりから展開も落ち着き、アウディが1スティント13周、プジョーが1スティント12周で周回を重ねて行く。
そんな中、スタートから4時間半が経った頃、ピットロード入り口付近でアクシデントが発生。アストン・マーチン009号車がLMP2の26号車をオーバーテイクする際に、横からヒット。26号車がイン巻きにスピンしてピットロード入り口あたりのタイヤバリアにクラッシュし、これをきっかけにコース上に再びセーフティーカーが入った。このタイミングにピットは大混乱に。
ちょうど、このセーフティーカーの直前に、ピット作業を終えていたのはトップを快走していたプジョー8号車と9号車。しかし、この2台も含め、ワークス勢は次々と同時にピットインし、給油やタイヤ交換、ドライバー交代を終わらせてコースに戻った。このセーフティーカーランが終わったのは、19時50分。ここから再スタートが切られると、再びハプニングが立て続けに起こり始める。
まずトラブルに見舞われたのは、8番手までポジションを回復してきていたアウディ3号車。77周を終えたところで予定外にピットに入ったこのマシンはガレージの中に入れられ、慌しく高ウマの上に。リヤカウルが外され、エンジン担当のエンジニアやメカニックがその回りで作業を開始した。インジェクショントラブルを抱えたマシンの修復には、結局2時間以上も掛かり、優勝戦線から離脱した。
続いて20時45分頃、突然ピットに入ってきたのは、トップを走っていたプジョー8号車。このマシンは、ルーティンのピットストップを終えたわずか3周後、94周を終えたところで再度ピットイン。これは左リヤタイヤが締まり切っておらず、緩んできたため。ここで8号車は9分半ほどの作業を要し、トップから脱落している。さらに、21時半頃になると、ポルシェコーナーで3番手を走っていたアウディ2号車がスピンして、コースアウト。タイヤバリアにマシンはリヤから激突して大破。そのままリタイヤを余儀なくされた。
この結果、トップに立ったのは、プジョー9号車。アウディ1号車がそれに続く。だが、この1号車も22時50分頃、127周を終えたところでルーティンのピットワークを行うと同時にガレージに入れられる。この時、メカニックはラジエターを清掃。どうやらマシンにはオーバーヒート症状が出ていた模様だ。
しかし、ポジションは落とさず。これに続いて、一旦はポジションを落としたプジョー8号車が3番手。8号車はブルデーとモンタニーが驚異的なペースで追い上げ、みるみるポジションを回復してきた。さらに4番手につけているのはペスカローロのプジョー17号車。7号車との最初のピットロードでの接触からジワジワと挽回し、109周目にはブノワ・トレルイエが前を行くアストン・マーチン008号車をオーバーテイク。一時は3位に浮上する。その後、後方からハイペースで追い上げてきた8号車にかわされるが、その後は4番手を堅持している。
その他の日本関係では、チーム・コレスのアウディR10・14号車が、現在6番手。このマシンは、スタートのわずか20分前、まさにスターターを務める予定だったナレイン・カーティケヤンが肩を脱臼するハプニングが発生。決勝に出走できなくなったため、チャールズ・ツウォルスマンとアンドレ・ロッテラーが4スティントずつで交代というハードスケジュールをこなしつつ、着実にポジションアップしてきた。
LMP2クラスでは、ポルシェRSスパイダーの2台、チーム・エセックスとNAVI TEAM GOHが、毎スティント同時にピットイン。ドライバー交代のルーティンの違いでポジションを入れ替えながらトップ争いを演じていた。ところが23時35分過ぎに、NAVI TEAM GOHは予定外のピットイン。フロントカウルを取り替えてコースに戻る。だが、わずか1周後には再びピットイン。フロアに破損した部分があり、その応急処置をしてコースへと戻った。
しかし、それでもバイブレーションはおさまらず、午前0時35分には133周を終えたところでほぼ予定通りのピットイン。ここで荒に交代すると同時に、フロアも交換してコースに戻った。現在はトップのエセックスから3周遅れのクラス2位を走行している。