2008年に、学生による世界初のル・マン24時間挑戦を果たした東海大学工学部動力機械工学科『ル・マンプロジェクト』が、今年も11月13日に決勝が行われるインターコンチネンタル・ル・マン・カップ(ILMC)のズーハイ戦に参戦すると発表した。
2001年から本格的に始動、08年には学生によるル・マン24時間参戦を果たし、世界中から注目を浴びた東海大のル・マンプロジェクト。ここ数年は日本や中国で開催されるアジアン・ル・マン・シリーズにターゲットを絞り、クラージュ・オレカシャシーを学生たちによって改良した“TOP03”に、YGK製エンジンYR40Tを組み合わせて参戦してきた。
昨年の参戦時には、日本電産がスポンサーとなり新たに3.4リッターエンジンの開発やハイブリッドシステムの搭載を目指すと明らかにしていたが、経済上の理由でスポンサードが中断。これまで同様のTOP03/YR40Tというパッケージで臨むことになったが、今年はプロジェクトを率いる林義正教授、そして学生たち、ドライバーとも大きな自信を持ってズーハイに挑むという。
今季のTOP03は、ボディ面でフロントフェンダー左右やリヤで合計9kgの軽量化を果たしたほか、ボルトや配線などにもこだわって徹底的な軽量化を実施した結果、マシン全体で20kgの軽量化を達成。さらに空力特性、足回り、パワートレイン系など随所に渡って学生たちが改良を実施。また、ギヤボックスやエンジンなども学生がオーバーホールできるスキルを身につけているという。
この改良が施されたTOP03は、これまでプロジェクトのドライバーとして携わってきた密山祥吾、そして新たに加わった横溝直輝の手により、富士スピードウェイですでに4回テストを実施。今季はこれまで悩まされていたトラブルがほとんど出ず、セッティングも細部まで煮詰めることができ、「これまでにないくらい密度の濃いテスト(密山)」ができたという。
今季はレギュレーションにより、リストリクターが絞られパワーダウンを喫しているLMP1だが、今季のTOP03はそんな状況ながら昨年のタイムより1秒アップ。「同じクルマなので、ドライブしている感触はもちろん同じですが、今年は過去ダントツにいい。今までは完走が目標でしたが、今年は他をやっつけるつもり。アウディ、プジョーには及びませんが、ガソリンの他のマシンを倒すのは不可能じゃない」と密山は自信をみせる。
また、東海大湘南キャンパスからほど近い秦野市出身の横溝は、「チームとマシンをドライバーが信頼できなければアクセルを踏むことはできませんが、このマシンは最初から安心して踏むことができました。レースは何があるか分かりませんからね。表彰台に乗りたいと思いますし、東海大は僕の地元にとって身近な存在。応援してくれる皆さんを感動させたい」と意気込みを語った。
林教授が「今年の学生たちも非常にレベルが高く、心技体が備わっている」とチーム、マシンに太鼓判。今回のプロジェクトの目標は、アウディ、プジョーの両ワークスに次ぐ順位を予選・決勝ともに確保するというもの。高い壁だが、学生たちの挑戦に注目したいところだ。