F1開幕まで、あと少し。『F1速報』開幕直前号でも今季の見どころを語っている森脇基恭氏に、ウェブ限定で「裏」の注目ポイントを挙げてもらった。いろいろな角度から、2016年シーズンを味わうための視点を紹介しよう。
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1:今年のルーキーは「ハズレ」か「あたり」か?
2015年はマックス・フェルスタッペンを筆頭に、カルロス・サインツJr.やフェリペ・ナッセなど、ルーキードライバーに注目が集まり、豊作の年でした。それと比べると今年の新人はイキが良いのかどうか……。現時点で気になるのはDTMチャンピオンのパスカル・ウェーレインくらい。これを覆すドライバーが出てくるのかどうか、ひとつ気になるところです。
2:マクラーレンのシャシーは本当に良いのか?
フェルナンド・アロンソとジェンソン・バトン、マクラーレンのドライバーふたりが口をそろえて「クルマは良い」と言っているのを、個人的に疑っています。実際、遅いタイムで走っていたら、クルマが良いのかどうか判断できないはず。いまより1秒速く走れるようになったら全然、別物になります。あのタイムで走っているからクルマに余裕があって、パワーが足りないから滑ることもなく、しっかり走れてしまう。そのときになって「なんだ、こんなクルマ」ということになるかもしれない。本当にマクラーレンのクルマは良くて、パワーユニットだけがダメなのか、すごく気になっています。
そもそもホンダと組む前から、マクラーレンの調子は決して良くなかった。2013年、2014年とメルセデスを搭載していながら勝てず、その流れのままホンダとの共闘が始まっている。マクラーレン帝国を築いた人たちはチームを離れていって、かつての栄光を知っているのはロン・デニスくらい……。
もちろんマクラーレン・ホンダが活躍するためには、パワーユニットがまともにならなくてはいけません。熱を回生するMGU-Hからのアシストが1周にわたって途切れないように、何よりパワーを上げるにはメルセデスのような大きなコンプレッサーが必要です。新車を上から見るとよくわかりますが、今季はライバルたちも「サイズ・ゼロ」でリヤを絞り込んできている。どんな結果が出るのか、マクラーレンのシャシー性能とともに注目しています。
3:メルセデスの圧勝で終わってしまうのか?
最後は「裏」というよりも直球の見どころですが、2016年は現行レギュレーションの3年目で、最終年となる。2017年に大きな規則変更があることは決まっているので、いまのルール下での集大成となることは間違いないでしょう。「結局、最後までメルセデスだった」となるのか、あるいはフェラーリや他チームが「ひっくり返したね」となるのか。その結果を見られるのが、楽しみです。