佐藤琢磨が12番グリッドから最後までトップ争いを繰り広げて2位表彰台
日本人として史上初となるポイントリーダーに躍り出る
2013年5月5日(日)・決勝
会場:サンパウロ市街地特設コース
天候:晴れのち曇り
気温:27~28℃
南アメリカ大陸のブラジル・サンパウロへと遠征して行われるストリートレースは、今年で4度目の開催を迎えました。このコースでのレースは、毎年非常にエキサイティングで高い人気を博しており、今年もインディカーならではの激しいバトルを見ようと大観衆が集結。晴天の下での75周の戦いをエンジョイしていました。
長いバックストレッチの先にタイトなヘアピン形の最終コーナーが配されているこのコースでは、ハードなブレーキング競争が行われ、順位が目まぐるしく変わります。今年のレースでも、スタート直後からポジション争いがすさまじく、トップが10周ごとに変わっていくほどでした。
そして34周目、4人目のレースリーダーとなったのが、予選12番手からスタートした佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)でした。佐藤はトップを走りながら、37周目に出されたフルコースコーションで2度目のピットイン。いったんは19番手まで後退しましたが、そこから着々とポジションをばん回し、57周目にトップに返り咲きました。
佐藤は激しくアタックしてくるジョセフ・ニューガーデン(Sarah Fisher Hartman Racing)を退け続け、ゴールを目指しました。最終ラップを告げるホワイトフラッグをトップで受けた佐藤。しかし、37周目から使い続けているソフトタイヤはもうグリップを完全に失っており、最終ラップの最終コーナーでアタックを仕掛けてきたジェームズ・ヒンチクリフ(Andretti Autosport)が優勝。佐藤は2連勝を目前で逃しはしましたが、2戦連続の表彰台フィニッシュにより獲得ポイントは136に伸び、ポイントリーダーに躍り出ました。日本人ドライバーが、インディカー・シリーズでポイントトップに立つのは史上初めてのことです。
Honda V6ターボで戦うドライバーたちは、佐藤を含めた5人がトップ10でフィニッシュしました。ニューガーデンは25番グリッドからのスタートながら自己ベストとなる5位に入り、ダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は7位でした。シモン・パジェノー(Schmidt Hamilton Motorsports)も23番手スタートから9位まで大きく順位を上げてゴールし、チャーリー・キンボール(Chip Ganassi Racing)は17番手から10位でゴールしました。
コメント
佐藤琢磨(2位)
「今日は12番手からのスタートでしたが、序盤から着々とポジションを上げていき、ライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)をパスしてトップに立つことができました。そのあとにピットストップに入ったことで、いったん後方に下がりました。あのタイミングは少し早かったですね。そこで新品のソフトタイヤを装着したのですが、ゴールまでは35周以上もあり、最後はグリップがなくなっていました。それでも、後方から迫ってくるライバルたちとバトルし続け、なんとかトップを守り続けていました。ブレーキにもトラブルが少し出ていたので、最後の10周ぐらいはいつ抜かれてもおかしくない状態が続いていました。最終ラップの最終コーナーは、ヒンチクリフが見事でした。優勝を逃したのはとても悔しいですが、チームのクルーたちが本当にすばらしい力を発揮してくれて、2位という結果を手にすることができました。そして、ポイントリーダーになることもできました。チームの士気は高まっていますので、この勢いを保って、3週間後のインディ500でもいい戦いをしたいと思います」
ロジャー・グリフィス|HPDテクニカル・ディレクター
「佐藤琢磨はあと一つのコーナーで優勝を逃しましたが、彼とA.J. Foyt Racingは見事な戦いぶりをみせてくれました。ロングビーチでの彼らの優勝をまぐれだと思った人もいるかしれません。しかし、そうでないことを今日の彼らは証明していました。速いマシンを作り上げ、琢磨はすばらしいドライビングをゴールまで続けていました。ピットストップのタイミングから、一時は後方に埋もれましたが、チームの作戦によって、トップに復活しました。あれだけの周回数にわたってソフトタイヤを持たせられたのも、琢磨とチームの実力が高いからこそです。これで琢磨はポイントリーダーです。シリーズタイトルは、シーズンを通しての安定感が高い者が獲得します。2レースで優勝と2位。今の勢いを保ち続けてほしいです。エンジン競争は第4戦でも大変激しかったです。今日のレースでは、チームによってウイングの角度が違っていたため、ストレートでのスピードだけでパワーを比較することは難しいですが、ライバルとは実力がかなり伯仲している状態です。次のレースであるインディ500は、オーバルコースでの戦いですが、し烈なエンジン開発競争も続いていきます」