更新日: 2018.02.23 12:13
琢磨「今日はなんとしてもフィニッシュしたかった」
March 27 2011, RACE
IZOD IndyCar Series Honda Grand Prix of St. Petersburg
2011年3月27日(日)
決勝
会場:セント・ピーターズバーグ市街地コース
天候:快晴
気温:29~30℃
ダリオ・フランキッティが開幕戦ウイナーに
佐藤琢磨は自己ベストの5位でフィニッシュ
2011年IZODインディカー・シリーズの開幕戦Hondaグランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグは、快晴の下でスタートが切られた。好天に恵まれ、グランドスタンドに多くのファンが陣取るなか、シーズン最初のレース、最初のラップ、最初のコーナーで6台が絡む多重アクシデントが発生した。マルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)のマシンは裏返り、優勝候補のエリオ・カストロネベス(Team Penske)、スコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)らもマシンに大きなダメージを負った。
ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(Team Penske)は、このスタートではトップを守ったが、4周目に切られたリスタートで予選2番手だったダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)にパスを許した。そして、そこからはフランキッティが見事なまでに安定したハイペースで走り続け、2回のピットストップもチームが完ぺきにこなしたことから、2位以下をまったく寄せつけずにゴールまで走りきった。フランキッティ、Chip Ganassi Racingの両方にとって初めてとなるセント・ピーターズバーグでの勝利は、2位のパワーに7.1616秒以上もの大差をつける圧勝となった。
3位争いはレース終盤に激しさを増し、大きな注目を集めた。KV Racing Technology-Lotusからの参戦を開幕直前に決めたトニー・カナーンが、女性ドライバーのシモーナ・デ・シルベストロ(HVM Racing)と凄まじい攻防を繰り広げた。デ・シルベストロは度重なるリスタートでのアクシデントを潜り抜け、17番手スタートながら2位にまでポジションを上げた。チームの作戦もすばらしく、彼女は新品のソフトタイヤを装着して2回目のピットストップからコースへと復帰。前を行くカナーンはハードタイヤだった。終盤の路面にはソフトの方がマッチしていたようで、カナーンは厳しい戦いを余儀なくされた。しかし、元チャンピオンのカナーンはデ・シルベストロの攻撃をなんとかしのぎきり、移籍したばかりのチームに表彰台フィニッシュをプレゼント。デ・シルベストロは初めての表彰台フィニッシュを逃したものの、開幕戦としては幸先のいい自己ベストとなる4位フィニッシュを飾った。
そして、5位でゴールしたのは佐藤琢磨(KV Racing Technology-Lotus)だった。予選11番手からスタートした佐藤は、1周目のアクシデントをすり抜けて6位までポジションアップ。しかし、ソフトタイヤを装着したマシンのハンドリングが今ひとつだったことと、続けて行われたリスタートで不利なアウト側になったためにトップ10圏外に下がった。それでも、1回目のピットストップでハードタイヤに替えると走りは安定し、佐藤はポジションを着々とばん回していった。コース上でのバトルで1台をパスして2回目のピットストップを行った彼は、5位までポジションを上げてゴール。参戦2シーズン目の最初のレースで、昨年の自己ベストである9位を大きく上回る成績を残した。
コメント
ダリオ・フランキッティ(優勝)
「すばらしい青空の下、大勢のファンが歓声を送ってくれる中で走るのは最高の気分だった。パワーを抜いたのは2回目のリスタート。彼の動きに意識を集中させ、うまくパスすることができた。今日のマシンは完ぺきで、ソフトとハード、どちらのタイヤを装着しても速かった。2位を突き放すことができたあとは、レースをコントロールするかのように、ペースを保つ走り方でゴールを目指していた。開幕戦からポイントをたくさんかせぐことができたのはうれしい」
ウィル・パワー(2位)
「リスタートでフランキッティにパスされた。彼はフェアな戦いでトップに立った。リスタートで誰かに追突され、衝撃でギアがニュートラルに入ってしまった。それで順位は7番手まで落ちたが、サバイバルレースを戦い抜き、2位まで順位を戻してゴールできた。今日はハードタイヤでマシンのハンドリングが悪く、カナーンから激しい追撃を受けた。2位でポイントを多くかせげたことは、とても大きな意味がある」
トニー・カナーン(3位)
「序盤にポジションを大きく上げることができ、KV Racing Technology-Lotusでの初レースで表彰台に上がることができた。ソフトタイヤをレース中盤までに使う作戦は、終盤が厳しいものになる可能性が考えられたが、実際にそうなっていた。ゴールを目前にした残り5周目から、デ・シルベストロが激しくアタックしてきた。ハードタイヤはレース中盤に投入すべきだった。経験を頼りになんとか3位を守り通すことができた」
佐藤琢磨(5位)
「最初のスタートでアクシデントを潜り抜け、ポジションを大きく上げることができました。しかし、次のリスタートからはアウト側になってばかりで、路面が汚れていることもあって非常に難しく、順位を落としてしまいました。それでも、ピットストップですごくチームががんばってくれました。今日はなんとしてもフィニッシュしたかった。このような形でシーズンのスタートを切れてうれしいです。今日はラッキーな面もありましたが、自己ベストのリザルトを更新することができました。これからも上位フィニッシュを目指してがんばります」
エリック・バークマン|HPD社長
「すばらしい天候に恵まれ、多くのファンも集まるなか、エキサイティングなレースが展開されました。1周目の1コーナーで優勝を決めることはできませんが、そうした考えのドライバーたちがアクシデントを起こしていました。シーズン最初のレース、そして市街地コースでのレースではよく見られる光景です。フランキッティはレースを完全にコントロールしていました。あれだけ安定した走りを続けられるのは、チームにも彼にもすばらしい力があるということの証明です。今日のレースでは若いドライバーたちもがんばっていました。3位争いを繰り広げたデ・シルベストロは今日のレースで最も目立っていた一人です。チーム間の実力差はますます小さくなっており、競争は昨年以上に激しくなっています。第2戦以降も非常に楽しみです」