週の前半、ずっと雨が降り続いたル・マンに、ようやく晴れ間が戻ってきた。6月11日(木)のル・マンは、朝から晴れ間が広がり、午後になると気温も上昇。カラッとしたヨーロッパらしい天候となった。その後、夕方からは雲も広がったが、注目の予選セッションは完全ドライコンディションの中で行なわれ、8号車プジョー908(セバスチャン・ブルデー/フランク・モンタニー/ステファン・サラザン組)がトップタイムを奪った。

 この日の最初のセッションは、午後7時からの予定。だが、サポートレースでダンロップブリッジ先のガードレールを破損するアクシデントがあり、その補修のために25分遅れで開始された。ようやくコンディションがドライとなったこともあり、ピット出口がオープンされると次々にマシンがコースイン。1号車アウディR15はリナルド・カペッロ、7号車プジョーはペドロ・ラミー、8号車プジョーはモンタニー、9号車プジョーはデイビッド・ブラバム、17号車ペスカローロ・プジョーはブノワ・トレルイエ、14号車アウディR10はチャールズ・ツウォルスマンがステアリングを握り、コースへと入って行った。

 しかし、多くのマシンは、レースを想定してのメニューをこなしていく状況。アウディもプジョーも空力セットの違いや足回りのセット違いなど、ほぼデータ取りに終始した感がある。週末は好天が予想されているものの、昨日はほとんどドライでのデータが取れていないためだ。そんな中、セッション開始早々3分25秒608という好タイムをマークしたのは、8号車プジョーのモンタニー。その後、他のマシンはなかなか3分30秒を切ることなく、周回を重ねて行く。

 しかし、セッションが1時間ほど経過したあたりからは、各車次第にタイムアップ。3号車アウディが3分27秒290、7号車プジョーも3分27秒622までタイムを伸ばしてきた。その後、チェッカーまで残り15分という段階で、ワークス勢に割って入ってきたのは、17号車ペスカローロ・プジョーのジャン-クリストフ・ブイヨン。ブイヨンは3分25秒062というタイムを叩き出し、№8プジョーに続いた。しかし、チェッカー目前にコントロールラインを通過し、最終的にトップタイムを叩き出したのは1号車アウディのアラン・マクニッシュ。マクニッシュは3分23秒650までタイムを伸ばした。以下、8号車アウディ、17号車ペスカローロ・プジョー、2号車アウディ、7号車プジョー、9号車プジョー、3号車アウディと、やはりディーゼルエンジンのワークス勢が入り乱れる形となった。

 日本勢では、前述のようにブノワ・トレルイエが乗るペスカローロ・プジョーが3番手という好位置。この日、ドライで初めてル・マンのコースを走ったアンドレ・ロッテラーの乗る14号車アウディが16番手。注目のNAVI TEAM GOHは、すでに本番用エンジン&本番用パーツを組み込んでの走行となったが、LMP2クラスで2番手となる3分40秒434を荒聖治がマーク。総合でも21番手につける。同じくLMP2クラスの39号車ローラ・マツダはクラス10番手、総合30番手。また、昨日ほとんど走れないまま1日を終えたJLOCの68号車ランボルギーニ・ムルシェラゴもこの第1セッション後半にはようやく走行を開始。最下位ながら3人のドライバーがそれぞれ乗り込み、9周を消化した。とは言うものの、それぞれのドライバーが計測1周と、クルマの感触を確かめるまでには至らなかった。

 2回目のセッションが開始されたのは、午後10時から。1回目のセッションの開始が遅れた分は、インターバルを短縮することで消化した。この2回目のセッションの始まりは、通常最もタイムが出る時間帯。プジョー勢はここですぐにコースインするが、アウディ勢はなかなかコースに入らなかった。ここでタイムを更新したのは8号車プジョーのみ。だが、この時点では1号車アウディのタイムを上回ることはできなかった。その後、各陣営は満タンでのロングランなど、さらに決勝に向けての準備に取り掛かる。ところが、そろそろセッションが終盤に差し掛かろうかという頃になって、場内がにわかに騒がしくなった。プジョー陣営が最後にソフトタイヤを装着してタイムアタックを敢行したのだ。

 そして、セッションが残り約20分となったところで9号車プジョーのマルク・ジェネが自己ベストを更新して、その時点での4番手に浮上。さらに、12分となったところで、8号車プジョーを駆るステファン・サラザンが3分22秒888を叩き出して、1号車のタイムを打ち破りPPを決定付けた。さらに、ほぼ同じタイミングで7号車プジョーのニコラス・ミナシアンも自己ベストを更新。3分24秒860を叩き出し、3番手に浮上した。これに対抗するように、チェッカー目前には2号車アウディのマルコ・ベルナーが区間自己ベストを更新しながら猛プッシュ。チェッカーと同時に3分25秒780をマークするも、ポジションは最終的に上げることができず、総合6番手に留まった。

 日本勢は、NAVI TEAM GOHがセッション開始から約25分という時点で、ベストタイムをマーク。荒がソフトタイヤでアタックを敢行して、チーム・エセックスの31号車ポルシェRSスパイダーまでコンマ1秒差に迫る。しかし、このタイムを出した周も、トラフィックに引っ掛かっているとのこと。

 荒は「クルマの仕上がり自体は非常に良く、決勝に向けては自信を持って臨める」と力強く語った。また、トレルイエが駆る17号車ペスカローロ・プジョーとロッテラーの14号車アウディR10は、セッション終盤にこのふたりがそれぞれ乗り込み、満タンでのロングランを敢行。トレルイエはセッション終了間際になって、マシンにバイブレーションが発生したものの、「セットアップやバランス自体はとてもいい感じだよ」と語った。また、この2回目のセッションで自らのマシンのベストタイムを更新し、3分31秒548までタイムを伸ばしたロッテラーは、「今日はクルマの荷重も動きも感じ取ることができているし、段々楽しめるようになってきた。それに僕がベストタイムを出せたなんて満足だよ!」と笑顔をのぞかせた。

 野田英樹の乗る№39ローラ・マツダは、2回目のセッションはヘッドライトのチェックをしただけで、走行を終了。またJLOCの68号車ランボルギーニ・ムルシェラゴは、コンピュータの問題からエンジンが吹けないという症状に見舞われた。この修復に時間が掛かり、コースに入ったのはチェッカーまであとわずかという時点。2日間ともにトラブル続きで、決勝に向けての準備も充分に整っていない状態だ。あとは土曜日朝のウォームアップまでに、どれだけ問題をクリアできるか。それがレースにも大きく影響してくるものと思われる。

Le Mans 24 Hours — Qualifying times
1. Bourdais/Montagny/Sarrazin Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi 3min 22.888secs LMP1
2. Capello/Kristensen/McNish Audi Sport Team Joest Audi R15 TDi 3min 23.650secs LMP1
3. Minassian/Lamy/Klien Team Peugeot Total Peugeot 908 HDi 3min 24.860secs LMP1
4. Boullion/Treluyer/Pagenaud Pescarolo Sport Peugeot 908 HDi 3min 25.062secs LMP1
5. Brabham/Gene/Wurz Peugeot Total Sport Peugeot 908 HDi 3min 25.252secs LMP1
6. Luhr/Rockenfeller/Werner Audi Sport North America Audi R15 TDi 3min 25.780secs LMP1
7. Bernhard/Dumas/Premat Audi Sport Team Joest Audi R15 TDi 3min 27.106secs LMP1
8. Charouz/Enge/Mucke AMR Eastern Europe Lola Aston Martin 3min 27.180secs LMP1
9. Davidson/Turner/Verstappen Aston Martin Racing Lola Aston Martin 3min 27.704secs LMP1
10. Belicchi/Jani/Prost Speedy Racing Team Sebah Lola Aston Martin 3min 28.134secs LMP1
11. Hardman/Leventis/Watts Strakka Racing Ginetta Zytek 3min 29.798secs LMP1
12. Tinseau/Jouanny/Barbosa Pescarolo Sport Pescarolo Judd 3min 30.466secs LMP1
13. Albers/Bakkerud/Mondini Kolles Audi R10 TDi 3min 31.192secs LMP1
14. Karthikeyan/Zwolsman/Lotterer Kolles Audi R10 TDi 3min 31.548secs LMP1
15. Senna/Ortelli/Monteiro Team ORECA Matmut AIM Courage-ORECA AIM 3min 33.514secs LMP1
16. Panis/Lapierre/Ayari Team ORECA Matmut AIM Courage-ORECA AIM 3min 33.860secs LMP1
17. Hall/Primat/Kox Aston Martin Racing Lola Aston Martin 3min 33.968secs LMP1
18. Tomlinson/Dean/Moore Team LNT Ginetta Zytek 3min 35.804secs LMP1
19. Campbell-Walter/Ickx/Iannetta Creation Autosportif Creation Judd 3min 35.960secs LMP1
20. Elgaard/Poulsen/Collard Team Essex Porsche RS Spyder 3min 37.720secs LMP2
21. Ara/Kunimoto/Massen NAVI Team Goh Porsche RS Spyder 3min 37.802secs LMP2
22. Ragues/Mailleux/Andre Signature Plus Courage Judd 3min 39.326secs LMP1
23. Kane/Leuenberger/Pompidou Speedy Racing Team Sebah Lola Judd Coupe 3min 41.724secs LMP2
24. Newton/Erdos/Dyson RML Lola Mazda Coupe 3min 41.952secs LMP2
25. Amaral/Pla/Smith Quifel-ASM Team Ginetta Zytek 09S 3min 42.012secs LMP2
26. Piccini/Bobbi/Biagi Racing Box SRL Lola Judd Coupe 3min 42.848secs LMP2
27. Ojjeh/Gosselin/Peter GAC Racing Team Zytek 07S 3min 44.830secs LMP2
28. Lahaye/Ajlani/Moreau Oak Racing Pescarolo Mazda 3min 45.032secs LMP2
29. Barazi/Bennett/Moseley Barazi Epsilon Zytek 07S 3min 52.956secs LMP2
30. Noda/de Pourtales/Marsh KSM Lola Mazda 3min 53.072secs LMP2
31. O'Connell/Magnussen/Garcia Corvette Racing Corvette C6.R 3min 54.230secs GT1
32. Beretta/Gavin/Fassler Corvette Racing Corvette C6.R 3min 54.702secs GT1
33. Bruneau/Rostan/Greaves Bruichladdich Bruneau Radical AER 3min 55.320secs LMP2
34. Lichtner-Hoyer/Gruber/Muller Jetalliance Racing Aston Martin DBR9 3min 56.126secs GT1
35. Alphand/Gregoire/Goueslard Luc Alphand Aventures Corvette C6.R 3min 57.170secs GT1
36. Nicolet/Hein/Yvon Oak Racing Pescarolo Mazda 3min 57.524secs LMP2
37. Jousse/Maasen/Clairay Luc Alphand Aventures Corvette C6.R 3min 58.564secsGT1
38. Bergmeister/Neiman/Law Flying Lizard Motorsports Porsche 997 RSR 4min 03.202secs GT2
39. Lieb/Lietz/Henzler Team Felbermayr-Proton Porsche 997 RSR 4min 03.232secs GT2
40. Melo/Kaffer/Salo Risi Competizione Ferrari 430 4min 04.056secs GT2
41. Rodrigues/Lebon/Bouchut JMB Racing Ferrari 430 4min 04.084secs GT2
42. Babini/Malucelli/Ruberti BMS Scuderia Italia Ferrari 430 4min 04.222secs GT2
43. Narac/Pilet/Long IMSA Performance Matmut Porsche 997 RSR 4min 04.648secs GT2
44. Companc/Russo/Bruni AF Corse Ferrari 430 4min 04.938secs GT2
45. Bell/Sugden/Kirkaldy JMW Motorsport Ferrari 430 4min 05.168secs GT2
46. Drayson/Cocker/Franchitti Drayson Racing Aston Martin V8 Vantage 4min 06.482secs GT2
47. Simonsen/Farnbacher/Montanari Hankook Team Farnbacher Ferrari 430 4min 06.612secs GT2
48. Coronel/Bleekemolen/Janis Snoras Spykder Squadron Spyker C8 Laviolette 4min 08.348secs GT2
49. Mansell/Ehret/Rusinov Team Modena Ferrari 430 4min 08.508secs GT2
50. Krohn/Jonsson/van de Poele Risi Competizione Ferrari 430 4min 08.758secs GT2
51. Felbermayr/Felbermayr/Lecourt IMSA Performance Matmut Porsche 997 RSR 4min 10.014secs GT2
52. O'Young/Hesnault/Kralev Endurance Asia Team Porsche 997 RSR 4min 10.456secs GT2
53. McInerney/McInerney/Vergers Virgo Motorsport Ferrari 430 4min 10.664secs GT2
54. Kitch/Foster/Dempsey Advanced Engineering Ferrari 430 4min 13.920secs GT2
55. Apicella/Yogo/Yamagishi JLOC ISAO Noritake Lamborghini Murcielago 4min 21.812secs GT1

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