プジョー・スポールは3日、これまで“90X”として開発してきた新型プロトタイプカーを新たに“908”という名称で発表。ILMC(インターコンチネンタル・ル・マン・カップ)防衛、そしてル・マン24時間タイトル奪回に挑むニューチャレンジャーとしてお披露目した。
すでに“90X”の名称で昨年同様のカラーリングで発表されていたプジョーの新型ディーゼルプロトタイプカー。しかし、3日この新型マシンが新たに“908”の名称で発表されることになった。ただし、これまでの“908 HDi FAP”という名称からHDi FAPの部分が取れ、単純に908と称することで、プジョー905、908 HDi FAPに続く“第3世代”のプロトタイプカーであると位置づけている。
「908という名称を選んだのは、ニューマシンがこれまでの成功の流れの中にあるとするためだ」と語るのはプジョーのマーケティング・広報マネージャーのザビエ・プジョー。
「同時に、ニューマシンはブランドが持つ先進性に完全にマッチしており、市販車の308や408、508、そして3008HYbrid4というディーゼルハイブリッドカーを想起させる。プジョーはいつもモータースポーツと市販車の関連性を重要視しており、908という名称はそれに基づくものだ」
新型908の改良のポイントとしては、これまでのディーゼルV12気筒エンジンから、新たに550馬力を発生する3.7リッターV8ツインターボ/HDi FAPディーゼルエンジンを搭載。VバンクもV12時代の100度から90度に改められているという。また、“ドライバーへの安全性の観点から”クローズドコクピットを継続して採用し、ミシュランの協力の下フロントホイールを大径化。また、レギュレーションによるシャークフィンを装着し、エンジンのパワーダウンに伴う空力効率の向上が為されているという。
プジョー・スポールのモータースポーツディレクターを務めるブルーノ・ファミンによれば、新車はすでに2010年7月にシェイクダウンが済まされているという。
「これが自分たち自身に課したデッドラインだったんだよ。我々はニューマシンにはマイナートラブルが多く出ることを知っているし、実際問題があった。でも、我々はマイレージを重ねることでひとつひとつ解消していくことができた」とファミン。
「そして、我々が発見したプラスのポイントとしては、マシンのハンドリングに我々の予想通りの手応えを得たということだ。我々は強みも弱点も含めて、ライバルに対してどの位置にいるのか慎重に見極めなければならない。それは最初のレースまで待つ必要があるね」
今季のILMCタイトル防衛、そしてル・マン24時間制覇に情熱を燃やすプジョー・スポールは、オリビエ・ケネル指揮の下、7号車にアレクサンダー・ブルツ/アンソニー・デイビッドソン/マルク・ジェネ、8号車にフランク・モンタニー/ニコラス・ミナシアン/ステファン・サラザン、9号車にセバスチャン・ブルデー/ペドロ・ラミー/サイモン・ペジナウという昨年同様の布陣を採用。LMSスパ6時間とル・マン24時間は3台体制で、ILMCの他のラウンドは2台体制で臨む予定だ。