ル・マン24時間レースを運営するフランス西部自動車クラブ(ACO)は27日、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)におけるGT3車両の参加を認めたと明らかにした。

 ル・マン24時間における本来の規定は、メーカーを中心としたLMP1、プライベーター向けのLMP2、GTカテゴリーのLM-GTEプロ、LM-GTEアマという4カテゴリーが基本だが、WEC世界耐久選手権が誕生したこともありヨーロッパのチームがWECにシフトしたため、今季LMSから名称変更したELMSは参戦台数が減少していた。

 新たにLMP2をトップカテゴリーとし、LM-GTEプロ、LM-GTEアマという3カテゴリーでスタートした今季のELMSだが、開幕戦のポールリカールでは21台が集まったものの、第2戦ゾルダーは台数の減少によりキャンセルという事態に。アメリカン・ル・マン・シリーズ(ALMS)ではポルシェやフェラーリなどのカップカーを“GTCカテゴリー”として参戦を認めていたが、これにGT3カーを加えたカテゴリーの創設を、チーム側からのリクエストによりELMSからACOに対し提案されていた。

 27日にACOは、GT3カーのELMS参加を認める決定を下し、7月14日〜15日に行われるELMS第3戦ドニントンパークから出走が可能になったが、問題はまだ残る。というのも、GT3カテゴリーのマシンを所有するチームにとってビッグイベントであるスパ24時間が7月28〜29日に開催される予定で、こちらにエントリーが流れてしまう可能性もあるからだ。

 また、GT3カーの世界的なブームの中心地であるヨーロッパとは言え、イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン等各国でGT3カテゴリーの国内選手権が開催されている上に、FIA GT1世界選手権やFIA GT3ヨーロッパ選手権、ブランパン耐久シリーズとGT3を使用するカテゴリーが数多く存在する。シーズンも半ばに差しかかろうという状況で、ELMSにも進出しようとするチームが現れるかどうか注目が集まるところだ。

 現在のLM-GTEカテゴリーで使用されている車両は、もともとGT2規定をベースに成立しているカテゴリーだが、高額な車体価格や維持費がかかるGT2でレースをしていたチームが、少しずつ車両費用の上限がほぼ決まっているGT3への買い換えを行っている状況もある。

 ヨーロッパでは数年後にはGTE自体が無くなるのではないかという噂も上がっているものの、GTEはル・マン24時間という“金看板”をもつ。今後のヨーロッパにおけるGTカテゴリーの推移にも注目したいところだ。

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