WEC世界耐久選手権のLMP1クラスに参戦しているアウディは、先日発表されたシリーズ前半3戦の“イクビアランス・オブ・テクノロジー(EoT)”の数値について、不服を表明している。

 ワークスチームにハイブリッドシステムの搭載を義務付けた新たな車両規則が導入された今季のLMP1クラスで、様々な技術の勢力を均衡化するためのシステムとして設けられているEoT。先日、ル・マン24時間を含むシリーズ前半3戦の数値が発表されたが、アウディR18 e-トロン・クワトロの搭載するディーゼルエンジンは、暫定版よりも下方修正を受ける形となっていた。

 具体的には、アウディの選択した2MJのテーブルでは、1周あたりの“燃料での放出エネルギー量”が140.2MJから138.7MJへと減少(=1周あたりの燃料消費量が減少)。燃料搭載量も54.8リッターから54.3リッターへ縮小される形となった。一方で、ガソリンエンジンを搭載するトヨタとポルシェは数値が緩和されている。

 この調整について、アウディのLMP1プロジェクトを率いるクリス・レインケは「かなりの不満がある」と語る。

「レース2週間前の、プロジェクトのこの段階で、2%というのは大きな差だ。重大な差だよ。パフォーマンスと戦略の点で不利になるかもしれない」とレインケ。

「我々はこの調整には納得できないし、どうしてこのような発表になったのかが明確になっていない。ただ、我々はFIAやACOをルールの制定者として尊重はするよ」

 レインケは、今回にEoTによってトヨタTS040ハイブリッドとポルシェ919ハイブリッドはR18 e-トロン・クワトロよりも長く周回できるだろうとの見方を示し、EoTの考え方からは外れてしまっていると語った。

「EoTの当初の考え方は技術の公平化だった。ある技術が多くの周回を重ねることができるのは公平ではない」

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