ロシアGPから3週間のお休みを挟みまして、F1はアメリカ大陸にやって参りました。第17戦アメリカGPであります。アメリカは日本との時差が大きく、セッションは軒並み深夜となります。観戦は非常に大変ですが……今シーズンも残り3戦です。どうかお見逃しなく。
アメリカGPの舞台となるサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、アップダウンが大きく、高速で駆け抜けるコーナーも多いため、最近できたサーキットの中では、ドライバーたちから好評を集めているコースであります。
今回のアメリカGPでも、前回に引き続き、メルセデスAMGの2台が速そうです。初日のフリー走行1回目も2回目も、ハミルトンとロズベルグによる1-2。しかも2回目は、3番手のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)に対して、1秒以上の差を付ける圧倒的なモノでした。今回も彼らの優位は揺るがないでしょう。
ただし、心配されるのはマシンの信頼性。今季これまでも、何度かトラブルに苦しめられてきたメルセデスAMGですが、今回のアメリカGPでもトラブル発生の兆候があります。フリー走行2回目では、ハミルトンのマシンに油圧系のトラブルが発生し、ロングランを完遂することができませんでした。彼らにとっての唯一にして最大の懸念事項が、このマシンの信頼性ということになるでしょう。
フリー走行2回目でメルセデスAMGに次ぐタイムを記録したのが、フェラーリのアロンソでしたが、ロングランのペースはソフトタイヤ装着時で1分45秒程度。もちろん、燃料の搭載量は不明ですが、特筆すべきほどのロングランペースではありませんでした。
ロングランに秀でているのは、やはり今回もウイリアムズのようです。ウイリアムズは、フェリペ・マッサにソフトタイヤを履かせてロングランを敢行しましたが、この時のペースはメルセデスAMGに肉薄するものでした。ただ、ウイリアムズとメルセデスAMGのロングランでもっとも大きく異なるのは、ソフトタイヤのデグラデーション値です。ウイリアムズはソフトタイヤで1周あたり平均0.28秒のデグラデーションを発生させていましたが、メルセデスAMGはほぼゼロ。ウイリアムズはタイヤ交換直後はメルセデスAMGについていくことができそうですが、間もなく徐々に引き離される……というレース展開になりそうです。なお、ウイリアムズのソフトタイヤでの平均ペースは1分44秒75程度でした。
フリー走行1回目で3番手4番手につけたマクラーレン勢も、今回注目しておきたいところです。シンガポールGPあたりからメキメキとパフォーマンスを上げてきた感のある同チームは、今回も高いレベルのパフォーマンスを発揮しそうです。マクラーレンはシーズン終盤になってもマシンの開発を継続しており、その効果が現れ、タイヤを上手く使うことができるようになり、ひいてはペースの向上にも繋がっているとのことです。メルセデスAMGとウイリアムズからは少し離されるかもしれませんが、それでもその次の位置を、レッドブルおよびフェラーリと争うことになりそうです。ただ、ソフトタイヤを履いた時のペースが\b少々劣るように思われます。
そのレッドブルは、パワーユニット交換が決まっているセバスチャン・ベッテルがピットレーンからレースをスタートしなければならなくなっています。そのためベッテルは、フリー走行2回目ではタイムアタックはせず、ソフトタイヤでのロングランに専念しました。このロングランを見る限り、彼らのデグラデーション値は0.13秒/周といったところ。平均ペースはフェラーリより若干遅いといった印象です。ただ、この時のペースはミディアムタイヤでロングランを行ったダニエル・リカルドと比較すると燃料を多く搭載していたはずで、フェラーリやマクラーレンに先行できる可能性があります。とはいえ、ベッテルは最後方からのレース。かなり厳しいレースになることは間違いありません。
もうひとつ特筆しておきたいチームがあります。それはトロロッソです。トロロッソのダニール・クビアトが全体の7番手タイムを記録しています。しかも、ロングランのペースも非常に良さそうです。そのペースは、前記したフェラーリ、マクラーレン、レッドブルらと同等。しかも、ソフトタイヤ装着時のデグラデーションの値は0.1秒/周と、最も小さいレベルです。クビアトのチームメイト、ジャン-エリック・ベルニュも、ほぼ同じペースでロングランを行いました。今回、台風の目になるのは、トロロッソかもしれません。
今回も最も速いのはメルセデスAMG、ウイリアムズが続くという展開は、前回同様です。ただし、その後方は大混戦。レッドブル、フェラーリ、マクラーレン、トロロッソが、非常に熾烈な戦いを展開することになりそうです。フォースインディアのペースも悪くありませんが、ソフトタイヤでのデグラデーションが大きい(0.3秒)のが気掛かりです。なお、各車ミディアムタイヤでのデグラデーションはほぼゼロの様子。よって、タイヤ交換は1回もしくは2回ということになりそうです。いずれにしても、予選順位が非常に重要になってくる、アメリカGPになりそうです。まずは今晩行われる予選に、ご注目ください。