セバスチャン・ベッテルは、チームメイトのキミ・ライコネンがコクピット保護システム「ハロ」の実装テストを行った翌日の3月4日、午前中に同デバイスを装着してインストレーションラップを走行した。

 ベッテルは、最優先されるべきはドライバーの生命であるため、ハロの外見は問題にならないと言う。

 ハロに対しては賛否両論で、ルイス・ハミルトンが「F1史上最悪の変更」と述べたのに対し、チームメイトのニコ・ロズベルグの意見は、かなり好意的なものとなっている。

「あまり見た目が良くないことは認める。F1で見慣れた光景ではない。でも、これで安全面が向上して、命を守るという面で役に立つのであればいい。このシステムがあれば、ヘンリー・サーティースとジャスティン・ウィルソンは助かっただろう。見た目は醜いかもしれないが、どんなことだって命を奪う理由にはならない」

 ライコネンは視界に関しては楽観的なコメント。さらに現在の形状はフェラーリ製のプロトタイプであり、変更の可能性があると発言をしていたが、ベッテルも同意見だ。

「必要なところは見えている。美観や視界の点で、さらなる改善も可能だ。シミュレーターでもテストをしていたし、かなり近いうちに進化形が見られると思う」

 一方でハミルトンは、システムが導入されても装着は任意であることを望んでいる。

「導入が決まっても、装着するかしないかは選べるといいね。僕は使わないから。自分のマシンには付けないよ(笑) 安全が重要なことには間違いないが、マシンに乗るときには、それなりのリスクがあると理解している。どれだけのリスクを負うかは自分で決めるべきだ。僕はハロなしで走るほうがいい」

 ハミルトンはテスト中の3月3日に、MotoGPのほうがエキサイティングだと比較した上で「F1は崩壊しており、方向性を見失っている」と発言している。ベッテルは反対意見であるものの、予選システムの性急な変更などは止める必要があると述べた。

「F1は崩壊してはいないと思う。興行という部分で、F1はうまくやっている。ここ最近の決定事項に関してはリーダーシップに欠けていると言える。シーズン開始の数週間前にルールや予選方式を刷新するというのは少しばかりメチャクチャだ。実際そういうことが、この数週間で起きている。予選の変更に賛成ではないし、全ドライバーを代表して言わせてもらえば、誰ひとりとして賛成してなどいない。以前からの予選方式の何が悪いのか、なぜ変更するのかがわからない。不確定要素が増えることで喜ぶ人がいるのはわかる。けれどもF1はスポーツであることが重要で、そのためには最強チームで走る最速ドライバーが最終的に勝利を手にできる形でなければならない。F1のDNAは、ずっとそうだった。このまま行けば混乱を引き起こし、ドライバーに対して批判が起きたり、ファンの間で論争があったりするだろう」

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