アメリカン・ホンダ・モーターのレース部門であるホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)は7日、2014年のLMP1規定に対応したV6ターボチャージドエンジン、『HR22T』を開発し、WEC世界耐久選手権に参戦するプライベートチームをサポートすると発表した。
2014年に向けてLMP1規定は大きく変わることになっており、メーカーワークスの車両はエネルギー回生システム(ERS)の搭載が義務づけられ、プライベートチームはERS搭載/非搭載を選ぶことができる。エンジン形式についてもさまざまな形式を選択することができるが、燃料流量や燃料使用量、コストが大きく抑制される。
そんな中、これまでインディカー・シリーズで活躍してきた3.4リッター自然吸気V8エンジンを転用、ワース・リサーチとともに開発したHPD ARXシリーズでLMP1、LMP2にマシンを供給してきたHPDでは、14年に向けてパートナーチームに対しサポートを行うことを決断。インディカー用HI13RTエンジンを転用した、HR22Tエンジンを開発すると発表した。
HR22Tエンジンは、2.2リッター直噴V6のシングルターボエンジンで、HPDがマネッティ・マレリとともに開発するERSを組み合わせることが可能だという。
「これはHPDと、WECに参戦する我々のカスタマーチームにとってエキサイティングな新プログラムだ」と語るのは、HPDの副代表でCOOを務めるスティーブ・エリクセン。
「小排気量直噴ターボエンジンと、ERSを搭載できるオプションは、新LMP1規定に挑戦するプライベートチームにとって技術的に洗練されたソリューションだ」
さらにHPDでは、この新エンジンとERSの開発にともない、テクニカルパートナーのワース・リサーチとともに、新たに“屋根あり”のクーペバージョンのARXシャシーを開発するという。ARXシリーズにおいて、クーペバージョンの登場は初めてのこととなる。
14年からのル・マン規定ではさまざまなレーシングエンジンの活用が期待されており、F1エンジン、スーパーGT用のNREエンジンの可能性が模索されている。今回のインディカー用エンジンの転用は、アメリカからの新たなソリューションのひとつと言えそうだ。