5月7日(金)、ベルギー・スパ・フランコルシャンサーキットで、LMS第2戦の練習走行が行なわれた。この練習走行でトップタイムをマークしたのは、ペドロ・ラミー/セバスチャン・ブルデー/サイモン・パジェノー組のプジョー3号車。マルク・ジェネ/アレックス・ヴルツ/アンソニー・デイビッドソン組の1号車、フランク・モンタニー/ステファン・サラザン/ニコラ・ミナシアン組の2号車と、3台のワークスプジョーが上位に並んだ。
これに続いたのは、マルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組のアウディ8号車、オリビエ・パニス/ニコラ・ラピエール/ロイック・デュバル組のプジョー4号車。さらに、ティモ・ベルンハルト/ロマン・デュマ/マイク・ロッケンフェラー組のアウディ9号車、ディンド・カペッロ/トム・クリステンセン/アラン・マクニッシュ組のアウディ7号車と続き、予想通りワークス対決の様相を示している。
この日、最初のセッションが開始されたのは、午後0時5分からの1時間。昨日から雨が降り続いているスパは、この日も小雨の朝を迎えた。しかも、真冬のような冷え込みで、最初のセッションが開始された時の気温は7度、路面温度は12度。セッションが始まると、どのマシンもレインタイヤを装着してコースに入った。注目の日本勢が所属しているマシンは、プジョーの4号車にニコラ・ラピエールが、アウディ8号車にマルセル・ファスラーが乗り込み、ピットからスタート。午前中のセッションでは、ロイック・デュバルやアンドレ・ロッテラー、ブノワ・トレルイエはステアリングを握っていない。
このセッションでは、どのチームもマシンの状態を確認するとともに、レインタイヤを何種類かテスト。またアウディは、9号車がリヤのサードダンパーの仕様違いをテストしたり、7号車がリヤカウルを比較テストしたりしていた。一方のプジョーもタイヤテストなどを敢行。まだ誰もタイムを出しに行くという状況ではなく、お互いのポテンシャルに関しても、“腹の探りあい”といった雰囲気だった。そんな1時間のセッションの中で、トップタイムをマークしたのは、プジョー4号車。1号車、3号車がそれに続いている。
3時間余りのインターバルを経て、2回目のセッションが開始されたのは、午後4時25分から。気温、路面温度は相変わらず低かったが、午後からは雨が止み、路面もほぼ乾いた。そのため、各車セッションが始まると、カットスリックやスリックタイヤでコースイン。いよいよ本格的な走行に入る。アウディ8号車には、ロッテラーが乗り込み、セッションをスタート。ミディアムとソフト、2種類のスリックタイヤの比較テストを行った。その後、終盤になってトレルイエに交代するが、残り時間が短く、トレルイエはわずか2周のみの走行。デュバルもほぼ同様に、ほとんど走らなかった。オリビエ・パニスがステアリングを握ってスタートしたプジョー4号車は、やはりセッション終盤になってデュバルに代わったが、残り時間の関係から、デュバルは4周のみの走行。いずれもコースとクルマに慣れるだけという感じで、この日の走行を終えた。
この午後のセッションでは、ワークスのプジョーがトップ3を独占。中でも、サイモン・パジェノーがマークした1分59秒826は、昨年のPPタイムを上回っていた。しかし、アウディのトム・クリステンセンによると、「プジョーはウイングも立てているし、リヤのフロアがハイダウンフォース仕様になっている。その分、スパのようなコースではタイムが出ているんだよ」とのこと。ちなみに、1月に左足の腱を痛めて、リハビリ中だったクリステンセンは、すっかりケガから回復して、元気に今季の初レースに臨んでいる。そんなアウディでは、7号車がリヤウイングと一体になったリヤエンドのフロアを、午後のセッションで比較テストしていた。またロッテラーによると、8号車は全くのル・マン仕様の空力ということで、「その分、こういうコースでは、フロントのダウンフォースがなくて、アンダーステア傾向だよね。時々リヤもナーバスになるし、トリッキーだよ」とのこと。しかし、ロッテラーは、思い出の地、スパでのドライブを満喫していたようだ。
8日(土)には、いよいよ注目の予選が行なわれるが、その前には午前9時45分から練習走行の3回目が行なわれる。天気予報によると、明日は晴れて、最高16度まで気温も上昇するというが、8日の朝を迎えても、スパは曇り空。午前9時の段階で、気温もまだ5〜6度というところだ。予報が当たれば、初日とは全くコンディションが変わることになるが、一体どのマシンが速さを見せるのか。誰がタイムアタックするのかも含め、PPの行方が非常に気になるところだ。