2016年3月1日
トヨタ自動車(株)モータースポーツマーケティング部
カイル・ブッシュが最後尾から追い上げ2戦連続の3位 “トヨタ・カムリ”は3台がトップ10フィニッシュ
アトランタのハイスピードコースで3カテゴリーすべてが行われ、スプリント・カップ・シリーズはイエローコーションの少ない展開のなか、上位を争い続けた3台の“トヨタ・カムリ”がトップ10フィニッシュ。最後尾スタートから追い上げたカイル・ブッシュがトヨタ勢最上位で開幕から2戦連続の3位フィニッシュとなった。
2月28日(日)、米国南東部ジョージア州ハンプトンのアトランタ・モーター・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第1戦「Folds of Honor QuikTrip 500」が開催された。
昨年念願のシリーズタイトルを獲得した“トヨタ・カムリ”勢は、その勢いのままに、今期もシリーズ最大のイベントである開幕戦「デイトナ500」を初制覇。トップ3独占という強さを見せ、さい先の良いシーズンスタートを切った。
1周1.54マイル(約2.5km)のアトランタは、NASCARでは標準的な長さのオーバルながら、ターンでは24度という急なバンク角を持ち、1周の平均周回速度が300km/hを優に超えるハイスピードオーバルのひとつである。コースは50年以上の歴史を持ち、カップ・シリーズ戦は年1回開催。トヨタにとっては2008年にカイル・ブッシュが“トヨタ・カムリ”にカップ・シリーズ初勝利をもたらした記念すべきコースで、2012年にはデニー・ハムリンが勝利、2013年にカイル・ブッシュが2勝目を挙げている。
26日(金)昼の練習走行を経て、午後5時45分より予選が行われ、カール・エドワーズが7番手、マーティン・トゥルーエクス・Jr.が9番手、ハムリンが12番手、マット・ケンゼスが13番手につけた。カイル・ブッシュは予選アタックでトップタイムをマークするも、予選後の車検で失格と裁定されたため、最後尾39番手から決勝レースに臨むこととなった。
28日(日)好天の下、午後1時19分に1.54マイルオーバルを325周(500.05マイル:約800km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。序盤は4番手スタートのハムリン、9番手スタートのマーティン・トゥルーエクス・Jr.らが順位を上げ、上位勢は激しく入れ替わる展開となった。イエローコーションが出ないまま周回が重ねられていき、40周目前後からグリーンフラッグ下でのピットストップ開始。全車が最初のピットを終えた時点でケンゼスが2位、エドワーズが4位。グリップ低下に苦しみ後退したハムリンは18位、最後尾スタートを強いられたカイル・ブッシュは21位まで順位を上げた。
この日速さを見せたケンゼスが64周目に首位に浮上。そのままグリーンフラッグ下での走行が続き、80周目前後から2度目のグリーンフラッグストップ。長いグリーンフラッグ下での走行に、多くの車両が周回遅れとなっていき、首位と同一周回は半数の20台を切るまでになった。
113周目あたりから、この日3度目となるグリーンフラッグストップが開始。116周目、首位を争っていたケンゼスもライバルと同時にピットインしたが、このピット作業中、規則で禁じられている、燃料給油中のクルーが別の作業を行ったとしてペナルティ。しかし、チームはこのペナルティの原因が分からず、そのまま走り続けたケンゼスは黒旗を掲示され、黒旗掲示中の1周は未計測に。ようやくペナルティ消化のためにピットに向かったが、ここまで47周にわたって首位を走行していたケンゼスは、このアクシデントにより2周遅れとなり、優勝争いから脱落してしまった。
不運なケンゼスと入れ替わるようにマーティン・トゥルーエクス・Jr.が首位に浮上し、時に順位を入れ替えながらの首位争いを展開。150周目過ぎには、この日4度目となるグリーンフラッグピット。徐々にポジションを上げてきていたカイル・ブッシュがここでトップ10圏内へと浮上した。
レースはコーションの出ないまま折り返し、180周目過ぎに5度目のグリーンフラッグピット。コーションの出ないまま200周が過ぎ、首位と同一周回はわずか11台に。トヨタ勢はマーティン・トゥルーエクス・Jr.が2位、エドワーズ4位、カイル・ブッシュ7位と3台がトップ10圏内での走行を続けた。
210周目、コース上の異物によりこの日初めてのイエローコーション。全車ピットに向かい、エドワーズが3位、カイル・ブッシュが3つポジションを上げ4位へ。マーティン・トゥルーエクス・Jr.はピット作業での僅かなタイムロスが響き6位へ後退。残り108周となる218周目に再スタートが切られると、この日好調なマーティン・トゥルーエクス・Jr.が2位へとポジションアップ。首位を追った。カイル・ブッシュは3台が時に3ワイドになりながらの激しい4位争いを展開。
その後もイエローコーションが出ないまま、250周目、280周目過ぎにもグリーンフラッグピットとなり、前を行くシボレーの2台をトヨタの3台が追うも、各車の差は大きく開いた状態となってしまった。
そのままチェッカーかと思われた残り3周、スピン車両によりこの日2度目のイエローコーション。レースは延長されてのチェッカーに。今季より、フィニッシュ直前の再スタートは、昨年前の“グリーン・ホワイト・チェッカー”に代わり、“オーバータイム”というルールに変更となった。昨年までは最後の2周で再スタートを切り、1周目の間にコーションが出た場合は3度までやり直しとなっていたが、今季からの“オーバータイム”ルールでは、1周目の中盤、多くのコースでバックストレート付近に“オーバータイム・ライン”が設定され、クリーンな再スタートの後にトップ車両がこのラインを越えれば、その後コーションが出されてもレースは成立。オーバータイム・ラインの前にコーションが出されたりスタートが正しく行われなかった場合は、無制限にやり直されることとなる。
最前列にシボレー勢が並び、その後方イン側にカイル・ブッシュ、アウト側にマーティン・トゥルーエクス・Jr.、その後方にエドワーズが続いての再スタートが切られたが、上位勢がオーバータイム・ラインを越えた後に後続で多重クラッシュが発生し、レースは成立。カイル・ブッシュが3位、エドワーズが5位、マーティン・トゥルーエクス・Jr.が7位と、3台の“トヨタ・カムリ”がトップ10フィニッシュを果たした。
最後尾スタートから追い上げ2戦連続となる3位フィニッシュを果たしたカイル・ブッシュはランキング首位に浮上。ランキングではマーティン・トゥルーエクス・Jr.が2位、エドワーズが4位、ハムリンが5位と、トップ5に4台のトヨタドライバーがつけている。
次戦第3戦は3月6日(日)、米国西部ネバダ州ラスベガスのラスベガス・モーター・スピードウェイで行われる。
TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。
カイル・ブッシュ
「終盤は激しい3位争いを繰り広げ、とても楽しめた。この(低ダウンフォース)パッケージはこのようなバトルに適している。最後の再スタートでは4号車(ケヴィン・ハーヴィック:シボレー)をかわし、首位の48号車(ジミー・ジョンソン:シボレー)もかわせる良いスタートが切れたと思った。ターン2を立ち上がってからややアウト側へとラインを変え、トライしたがそれは果たせず、続くターン3ではインに切り込んでいったが、車両前部が路面に接触してしまい、その直後に後続のクラッシュでレースは終わってしまった。しかし、素晴らしい一日だった。最後尾から懸命に戦い、ポイント的にも良い結果となった。来週は地元ラスベガスでのレースなので、ホームレースでの勝利を狙う」
カール・エドワーズ
「(低ダウンフォースパッケージでのレースは)これこそが真のレースだ。ハードなドライビングを続け、タフなレースで疲れたがとても楽しめた。アトランタは完璧なコースで、ファンも素晴らしいレースを楽しんでくれたことを願っている。全力で戦い、トップ5フィニッシュ出来た。もちろん勝利が望みではあるが、このペースをキープしていきたい」
マーティン・トゥルーエクス・Jr.
「今日はずっとどうなるか分からない展開だったが、このようなレースは本当に楽しい。ここアトランタは最も滑りやすい難コースであることはよく知られており、加えて低ダウンフォースパッケージのためにタイヤの摩耗も激しかった。ストレートでもスライドしているような状況で戦い続けた。今季から体制が変わり、昨年までよりも明らかに力強い状況でレースが戦えていると感じている。次週のラスベガスでは、我々はここ数年良いレースが出来ているので楽しみだ」