24日、全日本選手権スーパーフォーミュラ第5戦の開催中止が発表された韓国のインジェ・スピーディウム。この開催中止の決定は、シリーズを運営する日本レースプロモーション(JRP)から「体制変更の告知とともに諸般の事情により開催を中止したいとの申し入れがあった」とされているが、“諸般の事情”とはいったいどんなものなのだろうか。

 JRPによれば、この“諸般の事情”とは、「経済的な問題と、競技映像制作義務の履行ができなくなったから」だという。この理由とは、韓国インジェ側が経済面で問題を抱えたのがひとつ。また、レースの開催時にはテレビ中継ように競技映像を作る契約を交わす必要があるが、この契約が履行できなくなってしまったからだという。

 この中止決定に直接の関係があるかは断定できないが、JRPからの開催中止が発表される直前の22日、韓国のモータースポーツ情報サイトであるGPコリアは、インジェ・スピーディウム内で経営問題が起きていると報じている。GPコリアによれば、8月はスーパーフォーミュラ第5戦の他にアジアン・ル・マン・シリーズ第1戦なども予定されているが、これらの国際格式レースのプロモーションが韓国内でほとんどされていない状況だという。

 インジェ・スピーディウムは、建設出資者であるテホン建設、ポスコ、運営出資者のKRF、金融出資者科学技術者共済会など4社が出資してサーキット運営会社を設立したものの、サーキットの稼働、ホテル経営で発生する赤字を巡ってテホン建設がKRFから運営権を戻して欲しいと要求。一方で、KRF側は赤字は自然に好転するとして運営権を手放さない考えを示しているという。

 インジェは建設計画立ち上げの当初、『インジェ・オートピア』という名称だったが、スーパー耐久開催の直前に名称が『スピーディウム』に変更。今回も「体制変更の告知」がJRPに対しあったことから、運営側でなんらかの動きがあったのは間違いないだろう。

 GPコリアは両者の摩擦の中で、マーケティングやサーキット運営がまともに為されていないと指摘。サーキットのこけら落としイベントとなったスーパー耐久第2戦の際に、韓流アイドルのチャン・グンソクさんのライブが行われたが、このライブ開催費用も10億ウォン(約9000万円)を費やしながら、費用対効果は得られていないという。さらに、一般の走行会のための平日の営業もできていないとのこと。

 また、サーキットの“仕上げ”の際にも支障が出ており、スーパーフォーミュラの開催に必要なFIAグレード2ライセンス取得についても、インジェ・スピーディウム側はグレード2が「事実上承認された」と発表しているが、韓国協会、そしてFIAからも承認はまだ下りていないと報じている。

 GPコリアは、この問題を「運営権における両者の争いが費用を浪費し、せっかく準備した国際レースに水を差している」と批判。これらの問題が“諸般の事情”に繋がった可能性は大いにあるだろう。

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