世界ラリー選手権(WRC)の安全対策部門を率いるミシェル・モートンは、ラリー・アルゼンチンの安全対策に関する会合に出席した。昨年のラリー・アルゼンチンでは、観客がクラッシュに巻き込まれるアクシデントが起きており、今季も同様のトラブルがあった場合、FIAは来季以降の開催を見送ることも示唆している。
昨年のラリー・アルゼンチンやラリー・ポーランドは、運営方法に不備があり、特にアルゼンチンではSS9で起きたヘイデン・パッドンのクラッシュに複数の観客が巻き込まれてしまったほか、パワーステージでは複数名のドライバーがクラッシュするアクシデントも起きている。そのため、今季の両イベントはFIAから“イエローカード”を出された状態での開催となっている。
FIAラリーディレククターのヤルモ・マホネンは、昨年のトラブルを繰り返してはならないと強調し、「もしアルゼンチンで(昨年と)同じ問題に直面した場合、我々は“レッドカード”を出し、再びアルゼンチンがカレンダーに含まれることはなくなるだろう」と語った。
また、マホネンは昨年多くのクラッシュが起きたエル・コンドルで再びパワーステージを実施するという決断に驚きを覚えたと明かしている。
「去年、テレビ中継を観ていて『いったい何が起きているんだ?』と声を挙げてしまったよ」とマホネン。
「私は常に正直でありたいと思っている。去年、エル・コンドルで起きた連続クラッシュは、テレビ放送がなければ回避できたと考えている」
「同じ過ちを繰り返しはしない。クラッシュなどがあれば、一度走行を中止することが大前提だ。TVクルーには一切の権限はない。彼らはラリーについて解説を行っているが、安全対策を任せることはあり得ないよ」
WRCにとってラリー・アルゼンチンは長い歴史をもつイベントのひとつだが、マホネンは必要であれば前に進む意志があることも示唆した。
「アルゼンチン戦は南アメリカにおけるショーケースとなっており、我々にとっても重要な1戦だ。今回、安全対策について、オーガナイザーは万全を期している。彼等は十分な数のマーシャルと地元警察を投入する予定だ」
「しかし、書類上では計画に不備がないように見えることが多い。実際に競技がスタートして、計画通りに行かなかった場合の対応が重要なんだ」
WRC第5戦ラリー・アルゼンチンは4月21日~24日に開催される。