WEC世界耐久選手権第7戦富士6時間で7号車トヨタTS030ハイブリッドと僅差の争いを展開しながら、2位でチェッカーを受けた1号車アウディR18 e-トロン・クワトロのドライバーたちが、レースを振り返った。
これまでル・マン24時間、シルバーストン、そしてバーレーンと今季3勝を挙げている1号車アウディ。このレースでも“本命”の1台で、スタートこそ3番手にポジションを落としたものの、アンドレ・ロッテラーが序盤から好走。ブノワ・トレルイエがステアリングを受け取ると、ひさびさの日本のレースで奮闘するトレルイエが、7号車トヨタとのギャップを削り、1号車優勢の流れを作り出した。
しかし、トレルイエは124周目のダンロップコーナーで97号車アストンマーチン・バンテージを抜こうとした際に接触。「最初に向こうがオーバーテイクさせてくれる姿勢をとっていたんだ。でも僕が躊躇してしまって接触した。簡単なミスだったと思う」とトレルイエは振り返る。
これにより1号車はリペアのためのピットインを行い、トレルイエからマルセル・ファスラーに交代。「今回はポイント差を広げることが大事だと思っていた。そのために集中して頑張った」というファスラーは、トレルイエの接触によりペナルティをも取られたが、「今回はポイント差を広げることが大事だと思っていた。そのために集中して頑張った」と先行を許した2号車とのギャップを詰め、最後はトレルイエ同様富士を良く知るロッテラーにステアリングを託した。
ロッテラーは優勝を手に入れるべく、給油のためのギャップを築きたい7号車トヨタとのマージンを少しずつ削り始める。7号車トヨタを駆るのは中嶋一貴。フォーミュラ・ニッポンではPETRONAS TOM'Sのチームメイトであり、今季タイトルを争う盟友だ。
しかし、ロングスティントをこなした一貴の集中力は切れることなく、7号車トヨタがトップでチェッカー。「トヨタとファンにおめでとうと言いたいね。このレースにとってもいいことだったと思う。最後にはバトルまで持っていくことはできなかった。厳しいペナルティも出た。ドライバー3人はすごく頑張ったと思うけど、今日は勝つことはできなかった」と悔しそうにレースを振り返ったロッテラー。
トレルイエも、長年キャリアを過ごした日本での勝利を飾れず悔しそうな表情を浮かべたが、「日本のファンにとってはトヨタが優勝したことは素晴らしいことだと思う」とライバルの勝利を持ち上げていた。