WEC世界耐久選手権第7戦富士で、LMP2クラスにADRデルタのオレカ03・ニッサンを駆り参戦した中野信治は、自分のスティントを素晴らしいペースでこなし、見事チームの優勝に貢献。嬉しいWEC初勝利を成し遂げた。
F1参戦後はCARTチャンプカーなど北米のレースに参戦、2004年にJGTCに参戦した後は、ル・マンを中心にスポーツカーでの活動を続けていた中野。今季はル・マン24時間にブーツェン・ジニオン・レーシングのオレカ・ニッサンで参戦した他は目立った活動は行っていなかった。
そんな中野は、今回富士スピードウェイで開催されるWECに、選手権争いを展開するADRデルタから参戦。初日からチームの力、そしてマシンのフィーリングに手応えを感じていた。
迎えた決勝レース。ADRデルタの25号車はジョン・マーティンのドライブでリードを奪うと、中野にスイッチ。中野は自らのスティントで素晴らしいペースをこなし、トー・グレイブスに交代。その後中野の出番はなかったが、チームは嬉しいLMP2クラス優勝を飾った。
中野はスポットライトに照らされた表彰台の頂点に立つと、噛みしめるようにトロフィーを掲げることに。「富士での表彰台は94年かな? F3で勝った時以来なので、本当に嬉しいですね」と中野。
「今は年中走っているわけではないし、ル・マンでチャンスをいただいて走っているくらいですからね。ずっと乗り続けていなくても勝てる甘い世界ではないし、パッと乗ってそれなりに走れるかというと、いつも不安はありましたからね」
スポーツカーレースでの勝利も、2009年アジアン・ル・マン岡山での勝利以来。「ここでこういうチームに出会ったのも縁かもしれないし、ル・マンにも来年は出たい。できればいいチームで出たいですね。教え子である(中嶋)一貴がP1で勝って嬉しいし、おめでとうと言いたい」と来季にこの勝利を繋げたいという。
「できれば一緒にP1でやりたいですね。一貴とか、琢磨とも一緒にやってみたいです」と中野は嬉しそうな笑顔で語ってくれた。