第96回インディアナポリス500マイルレースで、最終周にトップを走るダリオ・フランキッティにチャレンジ、スピン〜クラッシュを喫した佐藤琢磨に対し、アメリカ国内をはじめ外紙は「ドラマチックな幕切れ」「アタックは正しかったか」等、大々的な見出しで報じている。
アメリカのオープンホイールレースの中では最大のイベントで、決勝日には40万人が観戦に訪れる世界三大レースのひとつ、インディ500。昨年もJRヒルデブランドがファイナルラップでクラッシュするなどドラマチックな幕切れとなったが、アメリカの主要紙をはじめ、世界中のニュース配信サイトが「タクマ・サトーのチャレンジ実らず」と伝えている。
インディアナポリスの地元紙で、モータースポーツを多く伝えているインディアナポリス・スター紙はボブ・クラビッツのコラムで「タクマ・サトーの素晴らしく、愚かで、勇敢で、無責任なチャレンジ」と題し、「もし彼のアタックが成功しフランキッティを下していたら、インディ500の歴史に残る伝説のヒーローになっていただろう。しかし、フランキッティはサトーの追い抜きを許さず、ここ数年で最もドラマチックな幕切れとなったインディ500を制した」と伝えている。
また、スポーツ専門サイトのブリーチャー・レポートは「タクマ・サトーの追い抜きは早すぎたのか?」と題し、読者投票を含めた記事を展開。「サトーはターン1で待つべきだったか? 彼のいつものチャレンジを批判する者がいるのは確かだ。しかし、残りの3/4ラップで、彼に再びチャンスが来ない可能性もあった。フランキッティは、レース中バックストレートでかなりの速度を保っていたからだ」と伝える。
「インディ500のウイナーズサークルに入る可能性ができたとき、それを逃す者はいないだろう。特にファイナルラップでは。サトーはそのチャンスを見つけたが、成果を上げることはできなかった。しかし、これこそレースの本質だ。特に、インディ500の勝利が見えた時、リスクは冒されるべきだ。サトーがターン1で動きを起こさず、その後フランキッティをパスする機会が見出せなかったら、それについて今頃我々は議論している頃だろう」
「タクマ・サトーはインディ500で勝つために早く動き過ぎたのか? おそらく否だ。彼はチャンスを見つけ、それに向かった。しかしそれは成功しなかったのだ」
一方で、ニューヨーク・タイムズは、昨年まで琢磨のチームメイトだったトニー・カナーン(3位に入賞)のコメントを紹介した。カナーンは琢磨に対し「待つべきだった。ダリオがそう簡単にさせてくれるとは思わない。まるで若手ドライバーのようなミステイクだった」と語っている。