更新日: 2023.10.14 13:34
今季不振により「引退も考えていた」マッズ・オストベルグが復活のシリーズ2勝目/ERC最終戦
明けた土曜午前9時半から始まった本格ステージからは、地元では“Mixi”の愛称で知られるホームヒーローのチョモスがスパートを見せ「素晴らしく本物の“Mixi style”だったし、午前中に話し合った計画を維持した」と、狙いどおり午前のループで最速を奪取すると、レグ1合計6ステージを終えた時点でリードを20.6秒に広げていく。
一方、オープニングのSS2で「石による大きな衝撃」を受けたオストベルグは、SS7のベストで反撃に転じハンガリーチャンピオンのフェレンツ・ヴィンツェ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)を抑えて2番手で初日を終えた。
しかし暗雲立ち込め雨の可能性もあった波乱のレグ2は、首位チョモスが計4ステージのオープニングこそベストを刻んでリードを23.5秒に広げたが、続くSS10で右フロントタイヤが損傷しスピン。さらにSS11では状況がさらに悪化し、スタートから約1km地点で高速ロールオフを喫してしまう。この事故でクルーに怪我こそなかったものの、ここでチョモスのERC初優勝の夢は潰える結末となった。
これで首位浮上を果たしたオストベルグは、同国王者ヴィンツェに対して8.9秒の差を残してパワーステージを奪い、最終的に12.8秒差で2度目のハンガリー制覇を果たした。
「正直に言って、信じられない結果だ。本当に厳しい1年だったから、こんなかたちでシーズンを終えることができて本当に良かった」と、何よりも安堵感を滲ませたオストベルグ。
「僕らはラリーをとても楽しんだし、クルマもうまく機能し、多くの荒れたコンディションでも問題はなかった。同時に“Mixi”にも賛辞を送りたい。今回の彼は『飛んで』いた、僕らは週末を通して彼にプレッシャーを掛け続けたが、残念ながら彼はコースオフしたようだね」
これでパッドンやセスクに次ぐチャンピオンシップ3位を確保したオストベルグだが「自分自身としては、勝たなければいけないと感じていた」と、その重圧と胸の内も明かした。
「ここから何をしたいのか、それを真剣に考えていた。そしてシーズンがこのように(不振に)なると、長くやりすぎたし『もう気にすることはない』と思い始める。僕はこれまでのキャリアで多くのことを達成してきたし、ふたたび同じことをする必要はない、ってね。でもとても楽しいし、ラリーをするのが大好きだし、サービスパークの人々も大好きだ。だから自分自身にとっても、ラリーを続けていくためには(この勝利が)必要だったと思う」
そして同ラリーで注目を集めたハンガリーが誇るスター選手、元WTCR世界ツーリングカー・カップ王者ノルベルト・ミケリス(ヒョンデi20 Nラリー2)は、初日QFステージを17番手で終えると、レグ1で11番手と好位置につけながら、SS7のステージ上で損傷した左リヤタイヤを交換するためタイムロス。それでも最終日を走破して13位完走と、粘りの走りでラリーデビュー戦を終えている。