それに拍車をかけたのはロバンペラの戦略変更だ。23歳のチャンピオンはSS11をスタートする直前にチームメイトの事故を知ったため、リスクを冒さず確実性の高いドライビングに切り替えた。彼はこのSS11を8番手タイムでパスし総合首位の座をヌービルに譲っている。
路面が乾いた午後のループでは、前日のSS3でホイールにダメージを負い勝負権を失っていたセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がSS12とSS13で連続ベストをマークした。しかし大勢には影響を与えることはなく依然としてヌービルがトップ、ペースを抑えて走るロバンペラが続き、エバンスの離脱後に順位を上げたMスポーツ・フォードのオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)が総合3番手のまま日没後のSS14へ。
一日の最後のナイトステージではロバンペラがベストタイムを刻み、ヌービルとの差をわずかに縮めたが両者の間には26.2秒という大きなギャップができている。総合3番手につけるタナクは、SS14でハンドブレーキを失い約30秒のタイムロス。これにより上位との差が1分22秒に開くとともに、総合4番手オジエとのタイム差は31.1秒に縮まっている。
午後のループでペースアップに成功しSS14ではステージ3番手タイムを刻んだ勝田は、総合5番手をキープしてデイ3を走破した。後方には10.9秒差でテーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1)がつけており最終日の4つのSSではこのフィンランド人と争うことになる。
グレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)とピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)のMスポーツ・フォード勢が総合7番手、8番手でトップ8リザルトを形成し、その後方にWRC2首位を走るアドリアン・フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2)と同クラス2番手のエミル・リンドホルム(ヒョンデi20 Nラリー2)が続いている。
シリーズチャンピオン決定の瞬間が訪れる可能性がある競技最終日、ミッドデイサービスが設定されていない29日(日)のデイ4は、パッサウのサービスパークを起点にオーストリアで1本、ドイツで1本のステージを各2回走行する。SS15から“パワーステージ”となるSS18まで計4SSの合計距離は67.24km。リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は278.24kmだ。



