「彼女は自分さえ望めば、その資質によって父親が誰であるかに関係なく何者にでもなれるんだ。彼女は僕がこれまで見たことのないレベルの自信と、他の人ができないスピードを見つける天性の能力を持っているし、とてもうまくなるだろう。彼女はケンの娘としてではなく彼女自身の“レガシィ”として、リア・ブロックとして最善を尽くすはずさ」
そんな彼女は、引き続き初日をNRX NEXTに参戦してRX Lite車両をドライブし、元王者キャスパー・ヤンセンに次ぐ2位表彰台を記録し、翌日のグループEデビューに弾みをつける。一方、最高峰クラスではポールポジションから力強い逃げを見せたオリバー・エリクソンが、2番手発進アンドレアス・バッケルド(DRR JC)の転倒にも助けられ、コナー・マテル(バーモント・スポーツカー)を振り切って昨季カナダ戦以来の勝利を手にした。
明けた日曜、いよいよ『FC1-X』に乗り換えたブロックはヒートレースでも落ち着いたドライブを見せ、今季並行参戦するワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』で培ってきた電動車両のドライビング経験を遺憾無く発揮してみせる。
しかし予選ヒートも突破し、全8台のファイナルにコマを進めた彼女だったが、最後の“LCQ(ラスト・チャンス・クオリファイアー)”でまさかのモーター故障に見舞われ、決勝のスタートを切ることができないという無念の結末に。
これにより、最後はフレイザー・マッコーネル(DRR JC)やケビン・エリクソン(オルスバーグMSE)を退けたチャンピオンが、昨季タイトル獲得を決めた地で今季3度目のトップチェッカーを受け、4位にはファイナル初進出のブランクスが続く結果となった。
来季24年はウイリアムズF1配下の契約ドライバーとして、ARTグランプリから自身初のシングルシーターとなるF1アカデミーへの参戦が決まっているブロックだが、彼女自身はサーキットレースへの移行が差し迫っているにも関わらず、グラベル競技出場への扉は閉ざされていないと主張した。
「もちろん、辞めなきゃいけない理由はない」と続けたブロック。「(F1アカデミーは)全7戦あり、その間にはテストもあるけれど、ワンオフでラリーやナイトロクロスに参戦する機会や時間はいくらかあるはずよ」
「私は何に対してもオープンで、ジェームズ(・ボウルズ/ウイリアムズ・レーシング代表)でさえ『行って好きなことをしなさい、シートタイムはどこでだってシートタイムだ』と言ってくれた。だから、つねにクルマに乗っているのは良いことなの」

