更新日: 2024.01.09 21:07
“世界一過酷”なダカールラリーに挑むトヨタGR、新加入のモラエスが競技3日目に今大会初のステージ優勝
【ステージ3】
1月8日(月)のステージ3は、アルダワディミからアルサラミヤへ向かう競技区間438km、総走行距離733kmで争われました。このステージ3から4にかけては「ミニ・マラソン」ステージとして、ステージ終了後、メカニックの作業は2時間に制限。ドライバーとコドライバーはリモートビバークでサポートなしでキャンプし、ステージ4に臨むことになるため、これまで以上に慎重な走行が求められました。
このステージ3では、モラエス/モンレオン組がトップでフィニッシュ。400kmを越えるステージを走り切り、たった9秒という僅差でTGRに今大会最初のステージ優勝をもたらしました。W2RC世界ラリーレイド選手権にもシリーズ参戦するモラエス/モンレオン組にとっては、各ステージで得られるシリーズポイントにおいても重要な勝利を飾ることとなりました。また、このステージ優勝により、モラエス/モンレオン組は3ステージを終えての総合順位も、トップから9分17秒差の4番手へと浮上しました。なお、この時点での総合首位は、トヨタ・ハイラックスT1Uでプライベート参戦しているヤジード・アル・ラジ/ティモ・ゴットシャルク組(オーバードライブ・レーシング)となっています。
ド・ヴィリエール/マーフィ組は2度のパンクに見舞われ大きくタイムロス。タイヤ交換作業中に追い越された車両の巻き上げる砂埃にも苦しめられることになりました。ド・ヴィリエール/マーフィ組は首位のモラエス/モンレオン組から遅れること19分42秒の16番手でフィニッシュ。総合順位では36分56秒差の14番手につけています。
キンテロ/センツ組はさらに1回多い、3度のパンクに見舞われ、2本積んでいるスペアタイヤを使い切ったため、チームメイトの助けを待つこととなりました。幸運にもすぐにモラエス/モンレオン組が到着し、スペアタイヤをチームメイトに提供、モラエス/モンレオン組にとっては僅差のステージ優勝を逃すところでしたが、キンテロ/センツ組はチームメイトの助けによりタイムロスを最小限に走行を継続し、終盤は慎重な走行となるも、22分42秒遅れの17番手でフィニッシュ。このタイムロスにより、キンテロ/センツ組は総合でトップ10から脱落。首位から27分18秒遅れの11番手へと後退することとなってしまいました。
TGRのもうひとりの若手、ヴァリアワ/カザレ組にも試練が待ち受けていました。ヴァリアワ/カザレ組はこの日40番手と後方からのスタートだったため、遅い先行車の巻き上げる砂埃に苦しめられました。また、2度にわたってチェックポイントを見失って戻ることを余儀なくされました。それでも23分37秒遅れの21番手でフィニッシュし、総合でも18番手につけています。
ボッテリル・カミングス組は初のダカールながらここまでの2ステージは素晴らしい走りを見せてきましたが、ステージ3では苦戦を強いられました。ステージが始まって50kmほどのところで最初のパンクに見舞われ、100kmを過ぎた地点でも2度目のパンク。これでスペアタイヤを使い切り、完走のために慎重な走行に切り替えざるを得ませんでした。しかし、フィニッシュまで残り150kmというところで3度目のパンク。幸運にもこの時は完全に空気が抜けきる症状ではなかったため、クルーは何度も車両を停めてタイヤに空気を補充しながらの走行を強いられるも、なんとかこのステージを走り切りました。31分53秒遅れの32番手でのフィニッシュも、総合では17番手に留まっています。
ステージ3を終え、メカニックは翌ステージ4へ向けて2時間のみに制限された修復・整備作業を終えました。ドライバーとコドライバーはチームサポートのいないリモートビバークでキャンプを行い、ステージ4に挑みます。ステージ4はアルサラミヤから198kmの移動区間を経て、ダート路面が主で小さな砂丘地帯が混ざる299kmの競技区間を戦い、201kmの移動区間を経てアルホフフのビバークへと向かいます。
■ステージ3終了時のコメント
●シャミア・ヴァリアワ(SVR:シャミア・ヴァリアワ・レーシング代表)
「ダカールでのステージ優勝は良いことで、非常にタフなステージにもかかわらず勝利を掴んだルーカス(・モラエス)とアルマンド(・モンレオン/コドライバー)を祝福する。他のクルーたちはタイヤのパンクに苦しみ、厳しい一日となってしまったが、それでもメカニカルな問題もなく2時間に制限されたサービスに戻ってこられたのは良かったと思う」
「期待していたよりはやや順位が後退してしまったが、今大会は序盤から特に厳しい戦いが続いており、そんな中で大きなトラブルなくここまで全車両が走ってこられたことは、我々のGRダカールハイラックス・エボT1Uの強靱さを証明していると思う」
●ルーカス・モラエス 206号車
「(ステージ優勝は)本当に信じられないよ! 今日の勝利はアルマンド(・モンレオン)のおかげだ。ナビゲーションは本当に難しかったが、我々は狙い通りの走りができた。パンクもなく、クルマを着実に良いリズムで走らせられたのが良かった。とにかくアルマンドが素晴らしかったですし、チームのみんなにも感謝している。一日一日、走り続けるだけだ」
●セス・キンテロ 216号車
「今日は不運にもパンクに見舞われてしまい、正直なところいい日ではなかった。しかし、まだ先は長いし焦ってはいない。大きなタイムロスはしていないし、順位もそんなに悪くないからね。今日はちょっと不運だったけど、幸運が巡ってくることを祈るよ」
「明日は良い走りができることを願っているが、あまり浮き沈みの激しい戦いは望んでいない。プロローグ、ステージ2と1日おきに表彰台フィニッシュは果たしているので、明日はまた表彰台に戻れると思うし、残りのラリーもその調子を維持していきたいね」
●ガイ・ボッテリル 243号車
「我々にとっては非常に厳しい一日だった。50kmほどの地点でパンクに見舞われ、さらに100kmほど行ったところでもパンクし、スペアタイヤを使い切ってしまったんだ。残り130kmほどでさらなるパンクに見舞われまたが、タイヤ空気圧の監視システムで、スローパンクチャーなことがわかったので、何度も車両を停めてタイヤに空気を充填して走り続けることができた。今日はラリーではなくサバイバルの一日だったよ」
●ジニエル・ド・ヴィリエール 209号車
「今日も大変だった。残念ながら、我々は70kmを過ぎたところで2度のパンクに見舞われ、今日のラリーは終わってしまった。その後は砂埃の中でクルージング走行するしかなかったんだ。さらなるパンクは絶対にできなかったので、プッシュすることは不可能だった。終わりの見えない状況で、非常にフラストレーションの溜まる一日だったね。とはいえ、最後まで走り切ることができて良かった」
●サオード・ヴァリアワ 226号車
「ここまでの3日間、本当に大変だった! 今日は上位との差を詰めるべく、競技区間でペースを上げていくつもりだったんだ。序盤はそれができ、何台もパスすることができた。けれど、残念ながらふたつほどトリッキーなチェックポイントがあり、かなり時間をロスし、最後のチェックポイントも見つけられなかった。渓谷を戻ったことで、ライバルにパスされ、その後は彼らの巻き上げる砂埃にも苦しむことにもなってしまった」