「そこに大きな秘密はない」と強調するのは、6度の世界チャンピオンであるヨハン・クリストファーソン。「どのクルマにも弱点はある。重要なのは、それを可能な限り制限し、制御することだ。細かい部分に気を配ることが最終的に違いを生むんだからね」
同じくチーム代表で“ヨハンの父”でもあるトミー・クリストファーソンも、新たに製作した内燃機関コンバートの『フォルクスワーゲン・ポロ』と、電動化時代のすべてを制覇した『フォルクスワーゲンRX1e』という同じシャシーを持つ両規定モデルを仕立てたことで、2024年のタイトル防衛に向け「チャンスを最大限に高めるべく、できる限りのことを行った」との手応えを得る。
「このクルマは、我々がこれまでのプロジェクトを通じて蓄積してきたすべての経験と専門知識の産物だ」と、スウェーデンの地方新聞NWT(Nya Wermlands Tidningen)に語ったトミー代表。
「我々はここに最も熟練したエンジニアを集めたと確信している。彼らはあらゆる点で業界最高だ。このプロジェクトにより、オフシーズン中にチーム全員を忙しくさせることができたが、これはKMSの将来にとって非常に重要であり、ヨハンとオーレ・クリスチャン(・ベイビー)もフィードバックに貢献してくれたんだ」
「全体的に見て、これは我々がこれまでに作ったなかで最高のラリークロスカーであり、真の“野獣(ビースト)”だと確信している。潜在的なパフォーマンスの点では我々のRX1eモデルと非常に似ていると思うが、唯一の本当の違いはグリップレベルと我々がシーズンで訪れるさまざまなトラックの路面になる」
「これら2台の新車を製造するもうひとつの利点は、RX1eのテストが非常に制限されている現状で、内燃ポロのテストから得られる多くの情報があり、それをBEVの進化に活かすことができる点だ。ふたたびタイトルを争うために、EVとICEの双方のコンセプトに頼ることができると知って心強い思いだよ」

