更新日: 2024.03.29 23:18
ERC王者ヘイデン・パッドン、対抗馬マッズ・オストベルグともに愛機不変でタイトル“防衛×挑戦”へ
そんなパッドンとは同級生の36歳でもあるオストベルグは、タイトル候補の一角として2023年をスタートさせたが、初のERCフルシーズンでは厳しい戦いを耐え抜く時間が続いた。しかしハンガリーでの最終戦でキャリア2勝目を飾った瞬間、そのフラストレーションは「すぐに消え去った」と安堵の言葉を漏らしていた。
そんなノルウェー出身のオストベルグは、今季シトロエン・ハンガリーの支援も得て同国に拠点を置くタガイ・レーシング・テクノロジー(TRT)が用意したシトロエンC3ラリー2でフル参戦する。
「参戦体制をまとめるのに多大な努力が必要だったが、シトロエン・ハンガリー、シトロエン・レーシング、ミシュラン、TRTのサポートが今季をスタートさせる鍵になった」と語ったオストベルグ。
「スポンサーの継続的なサポートとパトリック(・バース/コドライバー)との関係はすべて、ERCシーズン全体をまとめるレシピの一部さ。僕らがERCを始めて今年で2年目になる。僕らのパッケージは強力であり、ラリーでの勝利だけでなくチャンピオンシップタイトルを目指して戦うことに疑問の余地はないね」
昨季はチームMRFタイヤの一員としてインド製コンパウンドの開発にも貢献したが、今季のシトロエンにはWRC時代にも馴染みのあるミシュラン製ラリータイヤが装着される。
「ミシュランとしても、この2024年のERCキャンペーンにフル参戦できることを誇りに思う。ERCの誇る各種の路面条件に挑戦し、ミシュランのカスタマー向けレーシング/ラリータイヤの守備範囲を証明できるからね」と語るのは、同社モータースポーツ部門のERCマネージャーを務めるティム・ホア。
「これは競技者が自由にタイヤを選択できる世界最高レベルのラリー選手権であり、我々は勝つためにここにいる」
また、昨季のERC3チャンピオンでこれまでMスポーツ製のフォード・フィエスタ・ラリー4(FF)と同ラリー3(4WD)をドライブしてきた29歳のジョン・アームストロングが、今季より同社のサポートを得て「夢の」ステップアップの機会を与えられることに。新たにMスポーツ・ポーランド製のフォード・フィエスタ・ラリー2で全8戦にエントリーする。
「こうしてラリー2マシンのステアリングを握って丸1年を戦える機会を得ることができ、夢が叶ったような気分だ。この機会を与えてくれたMスポーツやすべての親しいパートナーのサポートにとても感謝している。国内のラリーコミュニティを代表できることを本当に誇りに思うよ」と北アイルランド出身で同国ラリーアカデミーのプログラム生でもあるアームストロング。
長年にわたり多くの若手ドライバーのキャリアを指導してきた本国MスポーツUK会長のマルコム・ウィルソンも「昨季のジョンの功績は、我々がM-Sportでサポートしようと努めている才能と可能性を体現していた」と期待を寄せる。
「我々の哲学はつねに若いドライバーを発掘して育成し、最高レベルのラリーで活躍するためのプラットフォームを提供することに重点を置いている。ジョンのこれまでの進歩と2024年のERCに向けた新たな章は、このスポーツにおける才能と野心を育むという我々の伝統の証だ」