更新日: 2024.05.09 16:19
ブノワ・トレルイエの新チームから参戦するヨアン・ボナートが高速ターマック戦を連覇/ERC第2戦
「(何が起こったのか)分からない。内側には石がたくさんあるのは確かだが、何かに触れて穴を開けてしまったのかもしれない……」と失意のカション。
これで首位に返り咲いたフランス出身の40歳は、背後から迫る開幕戦2位のマシュー・フランチェスキーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)とベストタイム合戦を繰り広げ、わずか0.3秒の差でレグ1首位のポジションを堅守した。
「完全にドライで完璧な一日だった。クルマも本当に完璧で、今日の午後は気温が非常に高かったからタイヤもうまく機能したよ」と続けたフランス選手権“5冠”のボナート。「明日もこのまま続けるつもりだけど、戦いは続いているしとてもハードにプッシュしなければならない。でも本当に楽しいね」
同じく午前のループでは一時首位にも立った24歳のフランチェスキーニも、ミシュランを履くシュコダに自信を持っており「どの点が改善できるかはわかっているし、今はそれに取り組んでいる」と明かす。
「今日最も難しかったのは、最終ステージの最後のセクションだった。グリップが非常に奇妙で、良いフィーリングを保てるかどうか判断が難しかった。でもそれはクルマのせいではない」と続けたフランチェスキーニ。
「今朝リードしたときは何も考えなかった。まだ結果が見えていないからね。携帯電話はバッグの中にしまい、明日も次のステージに集中したいと思っているよ」
シトロエン対シュコダのミシュラン対決となった最終レグ2は、午前のループで“オール・フレンチ”陣営が0.3秒から4.2秒へとリードを拡大すると、午後はベストこそないものの、最終パワーステージのSS13を前に6.9秒のマージンを築いてみせる。
「僕らはとても楽しんでいるし、その調子を続けている。クルマは完璧でチームはうまく機能しているし、僕らにとって良い朝だった」と語る首位ボナートに対し、今季シリーズの全戦を追うフランチェスキーニは「チャンピオンシップは非常に長いし、このラリーに勝つためにいかなるリスクも負いたくないのは確かだ」と、この時点で決着を示唆するコメントを残す。
一方、総合3番手に着けていた王者パッドンも、コンディションに対してピレリを装着したヒョンデのマッチングが厳しいか。SS8とSS9でアンダーステアの発生を報告し、優勝争いからジリジリと離される展開となる。
これで勝負は決し、最終的にパッドンは総合6位まで後退。チャンピオンシップポイントを優先するフランチェスキーニが開幕からの連続2位表彰台で選手権首位に浮上するなか、フランスの大ベテランが今季最初のERCラウンドでキャリア通算3勝目を飾った。
「とてもうれしい。気温が上がって難しいセカンドループだったが、すべて大丈夫だった」と喜びを語ったボナート。
「今朝はギャップが非常に小さく新しいラリーのようにスタートしなければなかったが、可能な限りプッシュしてそれがうまくいった。今年はERCで3つのイベントにしか参戦しないが、それぞれで優勝できれば完璧なはずだ」
続く2024年のERC第3戦はふたたびグラベル戦へと回帰し、おなじみスウェーデンのカールスタッドにて雪と氷に閉ざされたWRC世界ラリー選手権とは異なり、初夏の爽やかな木立を全開で駆け抜ける『バウハウス・ロイヤル・ラリー・オブ・スカンジナビア』が6月13~15日に開催される。