「今回の発表は、単に新しい車両に関するものではない。持続可能なモータースポーツの未来を切り開くことでもある」と語るのは、おなじみABB FIAフォーミュラE世界選手権や、エクストリームE、そしてエクストリームHの創設者兼CEOであるアレハンドロ・アガグ。
「水素燃料電池は、二酸化炭素排出量を削減しクリーンエネルギー・ソリューションを推進する素晴らしい機会を提供する。我々はエクストリームHでこの取り組みをリードできることを誇りに思っている」と続けたアガグ。
「そんなエクストリームHへの進化は、我々のチャンピオンシップにとって記念すべき瞬間だ。すべてのモータースポーツ・シリーズが独自のセールスポイントを持つことが重要であり、なかでも水素は非常に重要な要素を占める。我々は間違いなく水素のパイオニアであり、この分野では最初の存在となる。そして、大部分が未開発の資源である要素の可能性を紹介できることをうれしく思う」
レースに出場する各パイオニア25は、標準パーツの共通パッケージで構成されながらも、先代のワンメイク車両と同様にチームにとってのオープン領域として、量産モデルの外観を再現するために前後のボディワークとライトを再設計することが許される。
「我々はオデッセイ21から多くのことを学び、それをさらに発展させていますが、これはまったく新しいシャシーであり、水素燃料電池専用に作られたレーシングカーなんです」と説明するのは、シリーズのテクニカルディレクターを務めるマーク・グレイン。
「我々はレースをより激しくし、クルマをより速くしたいと考えていました。このパイオニア25はオデッセイ21の大幅なアップグレード版で、全体的なパフォーマンスは大きく前進しています。FOX製のドライバー調整式ショックアブソーバーを備えたまったく新しいサスペンション・ジオメトリーは、ドライバーが利用できるパワーとトルクの優れたプラットフォームを提供し、水素燃料電池車がエキサイティングで、頑丈で、非常に堅牢であることを世界に実証したいと考えています」
公式発表では、チャンピオンシップ初のレースカレンダーも公開され、過去4年間の蓄積同様にサウジアラビアで開幕し、イギリスでヨーロッパ・ラウンドが開幕。ドイツへの初訪問を経てイタリアに戻り、最終戦で北米デビューを飾るスケジュールとなっている。その新年度を前に、まずは7月13~14日に開催されるエクストリームEの第3-4戦『ハイドロX Prix』の現地にて、このパイオニア25の初公開テストが実施される。
「水素の大規模な導入は、モータースポーツと自動車業界全体に多大な利益をもたらすだけでなく、地球の未来に多くのプラスの利益をもたらす可能性があるんだ」と続けたCEOのアガグ。
「我々はモータースポーツで水素技術の初のテストベッドとなり、それはレーシングカーだけでなく、輸送、インフラ、燃料補給プロセス、安全規制にも適用される。これは画期的な取り組みで、将来は間違いなくレースの新たなフロンティアとなるだろう」



