TGR WRCチャレンジプログラムのインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、山本のラリー・エストニア初挑戦を次のように振り返った。
「このようなステージのキャラクターや地域的な特性が、(山本)雄紀にとってより馴染みのあるものであることは分かっていたが、コンディションは本当にトリッキーで、かなり頻繁に変化していた。このラリーを完走したことで、雄紀はさまざまなコンディションで多くの良い経験を積み、長い距離を走ることができた」
「忍耐強く、充分に制御されたスピードで走れるようになったのは良いことだが、まだ学ぶべき点も多くある。それと同時に、この厳しい戦いの場でもっとも速いドライバーたちのレベルを知り、まだまだ道は遠く、やるべきことが多くあることを実感したと思う」
山本自身は今回のラリーを走破したことに対して「満足」していると延べ、次戦のラリー・フィンランドに向けて「良い準備ができた」と語った。
「今回はとても良い戦いができたと思います。ここ数戦はあまりうまくいかなかったので、このラリーを良いフィーリングで終えたいと思っていましたが、うまくいったと思います。とくに、日曜日は本当にトリッキーなコンディションでしたが、それでも全ステージを走り切ることができましたし、それこそが自分にとってもっとも重要なことだったので、とても満足しています」
「土曜日は、天候的な面に関しては問題なかったのですが、路面には非常に大きなわだちがありました。つねに目を光らせてラインを追い、即座にアジャストするいい練習になりました。そして、クルマはわだちにうまくマッチし、信頼して走ることができましたし、非常に堅実に一日を戦うことができたと思います」
「日曜日は、普段とはやや異なる状況でした。路面を覆う大量のルースグラベルを掃き飛ばしながら走る必要があったのですが、それもまた良い経験になりました。それほどハードにはプッシュしなかったのですが、それでもペースは悪くなかったですし、安定していました」
「ERCは競争が非常に激しいので、上位選手のオンボード映像のデータを分析して改善につなげることができます。全体的には、ラリー・フィンランドに向けて良い学習の機会になりましたし、良い準備ができたと思います」
WRCチャレンジプログラムの2期生、山本と小暮の次戦は、8月1~4日にフィンランドで開催されるWRC世界ラリー選手権第9戦『ラリー・フィンランド』だ。彼らがこのWRC屈指の超高速グラベルラリーに出場するのは2023年に続いて二度目となる。昨年は比較的ローパワーなラリー4車両での出場であり、ラリー2車両でのWRC2出場は今回が初めて。
また、現在フィンランドのユバスキュラを拠点に活動している彼らにとって、同地を中心に開催されるこのラリーは第二の“ホームイベント”ともいえる一戦となる。
