ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2024.11.27 01:02
更新日: 2024.11.27 03:08

4年分予算を全投入。新井大輝が“10年落ち”マシンでラリージャパン表彰台「ことごとく壊れたけど、やってきてよかった」


ラリー/WRC | 4年分予算を全投入。新井大輝が“10年落ち”マシンでラリージャパン表彰台「ことごとく壊れたけど、やってきてよかった」

 想定外の箇所が壊れても修復し、直せずとも弱点を守りながら走り切った新井は、達成感にあふれた様子でラリージャパンを振り返る。そして、今回感じたラリー2とR5との性能差についても私見を述べた。

「クルマの差が顕著に出るステージもあれば、下りでベストを取れたステージもあって、そのなかで単純な10年落ちの影響というか、逆に10年分のマシンの進化も体感しましたね」

「とくにエンジンのトルクの出方が違うように感じて、自分たちは高回転まで回さないと出てこないのですが、彼らは下から出ている感じだったので、走り出しとかストップ・アンド・ゴーの箇所とかが全然違うように感じました」

「あとはサスペンションについても、アクセルを踏んでからすぐにトラクションが効いている感じの姿勢ができていて、コントロール性も全然違うのだろうなと思いましたね。これはシュコダだけじゃなく、シトロエンやトヨタもそうでした」

「そんななかで10年落ちのR5を使って戦うのだから、やっぱりいろいろなことを考えながら走らないといけないんだなと実感しました。なので、ちゃんと同じクルマで戦ったら自分はどこにいられるのか、と興味が湧きましたよ」

WRC2で3位表彰台を獲得した新井大輝/松尾俊亮組(シュコダ・ファビアR5)
WRC2で3位表彰台を獲得した新井大輝/松尾俊亮組(シュコダ・ファビアR5) 2024年WRC第13戦ラリージャパン

 こうなると、来季は参戦カテゴリーやマシンも変わってくるのだろうか。2024年全日本ラリーや今回のラリージャパンで実績を残した新井に、これから目指す先を聞く。

「もちろんヨーロッパラリー・選手権(ERC)やWRCに出たいです。ただ、ここから先のステップアップについてはどうしても自分の予算では賄えないのが正直なところです」

「これからスポンサーさんへの営業もしますし、すでにいろいろやっている部分もあります。ですが日本で営業をしても、ラリーという競技自体の認知度そもそものネックになってくるところがあるので、まだまだ頑張らなきゃいけないなと思っています」

 使用するマシンについては、「僕たちは別にシュコダにこだわっているわけではなく、R5が安いから使っているだけなんです」という新井。その話しぶりからは、スポンサーも含めて予算が許すなら、もっと新しいマシンに乗って世界のシリーズで戦いたいという気持ちが伝わってくる。

新井大輝(シュコダ・ファビアR5)
新井大輝(シュコダ・ファビアR5) 2024年WRC第13戦ラリージャパン

 そのまま新井は、「つねに僕たちは、次のラリーができるかわからないような状況で戦っています」といい、ラリージャパンをターゲットに据えた大挑戦の2024年を締めくくった。

「僕たちは、一戦一戦が最後のつもりで戦っているので、そのなかで必ずベストを尽くすようにしています」

「だからこそ、こうしてWRCに出るだけでも良いことで、さらにちゃんと走れたところではしっかりとタイムも出ました。最後には表彰台にまで乗ることができたので、やっぱりやってきてよかったなと思いました」

 最後には、「僕はただのイチ社員なので、大変ですよもう。ラリーは全部有休を使って出ているに過ぎないので、すでに12月の出勤日数がエグイことになってます(笑)」と言って下を向いた新井。しかしすぐにフッと顔を上げると、赤く染まった秋空に向かって持ち前の明るさで笑い飛ばしていた。

パルクフェルメでWRC2優勝のニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)と談笑する新井大輝
パルクフェルメでWRC2優勝のニコライ・グリアジン(シトロエンC3ラリー2)と談笑する新井大輝 2024年WRC第13戦ラリージャパン


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