来月4月4~6日の週末に、スペインのアンダルシア地方で開催される2025年開幕戦『第42回ラリー・シエラ・モレナ』を前に、今季ERCヨーロッパ・ラリー選手権のタイトル候補生と目される実力派ドライバーたちが、続々と2025年仕様のマシンカラーリングを公開した。
いずれもシュコダ・ファビアRSラリー2をドライブするミコ・マルチェク、ニコライ・グリアシン、マーティン・ラズロに、お馴染みフォード・フィエスタ・ラリー2で欧州選手権に臨むジョン・アームストロングらが新シーズンへの意気込みを語っている。
ポーランドの国内選手権で連覇を果たし、昨季のERCでも総合3位を記録した29歳のマルチェクは、2022年にも勝利を飾っている地元戦『第81回オーレン・ラリー・ポーランド』を軸に、2025年もチャンピオンシップ優勝候補のひとりとしてオーレン・チームからシリーズにエントリーする。
「こうして、ふたたびFIA ERCに出場することを発表できてとてもうれしい」と、すでにERCで5回の表彰台獲得経験を持つマルチェク。
「この旅路をみんなに応援して貰いたいと思うし、もう4月初めにスペインでシーズンが始まる。これはERCカレンダーに新しく追加されたイベントだから、この挑戦を心待ちにしているんだ」
「シーズンはハンガリー、スウェーデン、そして僕たちのホームラリーであるポーランドでのグラベル(未舗装路)イベントへと続く。でもシーズン後半にはイタリア、チェコ、イギリス、クロアチアでのターマックラリーに戻る。昨年を3位で終えた後、僕たちは非常にやる気に満ち、楽観的な気分でいる。新たな一年は自信を持って前向きな姿勢で臨みたいし、目標は最初のラリーから力強くスタートし、いつだって全開で戦うことさ!」
そのマルチェクと共闘し、イベント前に一連のテスト・プログラムでサポートを得ることになったマーティン・ラズロも、昨季4回のERC出場で2度の入賞を記録したシリーズに「より集中して」臨むと決意し、全6戦のスケジュールを計画している。
「昨シーズンはいくつかミスを犯し、良い走りができなかった。フルチャンピオンシップに出場できなかったため安定性に欠けていたが、今年は間違いなくそれを変えたいと思っている」と続けたラズロ。
「現時点では、ERCで6戦の出場を計画していて、スウェーデンとウェールズはスケジュールには含まれていないが、参戦する可能性についてまだ検討中だ」
ラズロ自身はハンガリーを拠点とするトップカーズ・ラリー・チームからのエントリーになるが、長年にわたり協力関係を築いてきた組織とのコミュニケーションを活かしたいと語る。
「僕らは長い間ともに仕事をしてきた。彼らに対してとても快適に感じていると言ってきたし、それは単なるチームとドライバーの関係以上のものなんだ」
■『頭文字D』マニアはERCとWRCを両立
同じくERCで4勝を記録し、今季は新規結成のJ2Xラリー・チームから参戦する27歳のグリアシンは、ERCでの活動とWRC世界ラリー選手権のWRC2クラスでの王座獲得を両立させる予定だ。
「新たにJ2Xラリー・チームとオルサック・ラリースポーツと協力できることをとても光栄に思っている」と、昨季のラリー・ジャパンでは「藤原とうふ店」の文字が入った“パンダ”カラーのシトロエンC3ラリー2をドライブしてクラス優勝を飾り、話題を集めたグリアシン。
「WRC2に出場するためヨーロッパ・ラリー選手権のすべてのイベントに出場することはできないが、フレンドリーな環境と多くの強力なドライバーとの競争が大好きだから、ERCに戻ってくるのを楽しみにしている」
「僕の夢は(8月開催の)『バウム・チェコ・ラリー・ズリン』で優勝すること。最高の結果を出すために全力を尽くしたいね」
その僚友として全8戦に出場予定のヤロスロフ・コルトンも「僕たちは長年ERCに参戦しているが、今季は全8戦を争う最初のシーズンになる」と意気込む。
「ニコライ・グリアシンと一緒にこんなに強いチームを作ることができてうれしいし、今季はは素晴らしい結果を出せると確信しているよ」
そして2025年は新コドライバーのシェーン・バーンとともにERCへ挑むアームストロングは、2024年にホワイト基調だったカラーリングをブルーに一新。この印象的なフォード・フィエスタで、改めてモータースポーツ・アイルランド・ラリー・アカデミーMスポーツのエースを担う。
「シェイクダウンは、シェーン(・バーン)をMスポーツのチームに紹介する良い機会だった」と、先週の3月中旬時点でドベンバイ・ホールにある拠点でシェイクダウンを実施していた30歳のアームストロング。
そのままアイリッシュ・ターマック・ラリー選手権の第2戦『ウエスト・コーク・ラリー』に出場したアームストロングだが、イベント出走を前にその初タッグでの目標を次のように語っている。
「ウエスト・コークでは、スタートから良いリズムを見つける必要がある。ステージはかなり速いから、少しでもためらうとタイムを無駄にしてしまうんだ。このラリーはアイルランドで最速、集中したステージを持つ最高のラリーとして知られている。うまくいけば先頭で挑戦し、ERC新年度に向けて勢いをつけることができるだろうね」