2017年シーズンのタイトル争いでは、選手権首位に立つカエタン・カエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)に対し、それを追う唯一の対抗馬ブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)が、最後の逆転に望みを掛けてスパートを試みるも、ルキヤナクと全く同じポイントでコースオフし木に激突。
マシン前方から重度のインパクトを伴ったことにより、ラトビア初挑戦だったマガラエスはすぐさまリエパヤの病院に搬送されることとなった。
これで初日を3位で終えたカエタノビッチは、翌日曜のステージを完走せずともERC新記録となる3連覇達成が確定したため、最終日は大事をとって完走を目指し大きくペースダウンする作戦をとった。

そして迎えた今季最終デイ2は18.3秒のマージンを持ってスタートした首位グリアシンに対し、ロバンペッラがついにスパートしプレッシャーを掛け始め、SS8、SS9と朝から連続ベストを記録しギャップを10.1秒にまで詰めていく。
しかし、グリアシンもこれに反応し「掛け値なしのリミット。安全マージンは取らなかった」という驚異の走りで、SS10ではロバンペッラを7.1秒突き放すスーパーベストを刻み、再びタイム差を取り戻してミッドデイ・サービスに帰還した。

残るSSは3つ。このままふたりのデュエルが激化するかに見えたSS11だが、ステージフィニッシュ付近の山林に民間のヘリコプターが墜落するという惨事が発生し、主催者はこのSSをキャンセルすると判断。
続くSS12をグリアシンが。最終SS13をロバンペッラが、それぞれベストを分け合いフィニッシュ。最終的に18.5秒のリードを保ったまま、グリアシンが注目株の17歳を下す価値あるERC初勝利を挙げた。

これで今季ERCシーズン8戦中で7人目の勝者となったグリアシンは「本当にいい誕生日になったよ。こうして自分に最高のプレゼントができて本当に良かった。いくつかのステージではリミットを越えてリスクを犯したし、カリ(・ロバンペッラ)は本当に速かった」と喜びを語った。
そして前日総合3位から、最終日はトップ10圏外にドロップするほどのペースダウンを敢行したカエタノビッチは、シリーズ新記録となるタイトル3連覇を祝う完走を果たしている。
