こうした流れと対照的に、従来まではトップカテゴリーの座を維持するとみられていたスーパーカーに関して、前出の関係者は「それがすぐに600馬力級の内燃機関マシンの終焉を意味するものではない」とも語っている。
「エレクトリックWorldRX(E-RX)の台頭で姿を変えることにはなるが、既存のスーパーカーも100%存続する。マーケットが望めば、欧州選手権としてだけでなく、ヨーロッパ域外でも何らかの形で国際選手権を開催することはできるだろう」
この規定とフォーマットの構造は、昨年複数回にわたって開催されたFIAとテクニカルワーキンググループ、WorldRXプロモーターのIMGとの協議の結果によるもので、その席には数社のマニュファクチャラー幹部も参席していた。
実際、大手マニュファクチャラーのいくつかは公式にエレクトリック・ラリークロス参戦への興味を示しており、昨年のクリスマス前にはプジョー・スポールのディレクターを務めるブルーノ・ファミンが、将来のE-RX参戦に向け2018年WorldRXシーズンでの体制強化を図ると明言。
また、マティアス・エクストロームへの支援継続と強化の一環として、チームの名称を『EKSアウディ・スポーツ・チーム』としたアウディ・スポーツのディレクター、ディーター・ガスも「2017年はWorldRXで非常にポジティブな経験を集められた。我々としてもシリーズ成長の可能性を確信している」と、E-RXへの発展に向け興味を示している。
「中期的視点では、モータースポーツの電動化とその車両開発はアウディでもフォーカスしているトピックであり、このレースシリーズ(WorldRX)でも電気自動車が導入されることを期待している」
また、今年6月に開催されるパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)に、完全自社開発の電動マシンでの参戦を表明したフォルクスワーゲンは、この新型フルEVパイクスピーク・アタッカーが将来のE-RX参戦車両開発に向けた学習プロジェクトであることを認めている。


