明けた22日金曜のレグ1後半戦でもルキヤナクの勢いは衰えず、この日は6ステージでベストタイムを記録。2番手に浮上してきたモーラに対し40.1秒という大差をつけて最終日を迎えることとなった。
一方、この日オープニングステージでコーションを見落としスピンを喫したルーベに代わり、スポーツ・レーシング・テクノロジーズ(SRT)のファビアR5をドライブするポーランド人のウカシュ・ハバイが「ERCに参戦したキャリア史上、最良の1日」とコメントするほどの好走を見せ、モーラの背後3番手のポジションにまで浮上してきた。
迎えた23日土曜の最終レグ2は、天候が急変し雨交じりの難コンディションと化すなか、アゾレス2勝目に向けスタートを切ったルキヤナクを不運が襲う。
フィニッシュまで残り2ステージとなったSS14でパンクチャーに見舞われたルキヤナクはこのステージ終了時点でハバイ、モーラに次ぐ3番手にまでドロップ。
なんとかポジション回復に向けリエゾンでスペアタイヤに交換し最終ステージに臨んだルキヤナクだったが、彼のシトロエンC3 R5はカットされたタイヤの構造体によってブレーキラインにダメージを与えており、最終SS最初のコーナーで大クラッシュ。チャンピオンとの初戦だったセインテロック・レーシングのC3は大破し、クルー双方は無事だったもののマシンは深刻なダメージを受けることとなった。
これにより最後の最後に大逆転でラリーリーダーの座に着いたハバイが、3連覇王者カエタン・カエタノヴィッチ、そしてロバート・クビカに並ぶポーランド人ERCウイナーの称号を手にするシリーズ初優勝を飾ることになった。
「最終ステージはクレイジーな上に、感じたことのない重圧でこれまでで最も困難なSSだったよ」と、勝利の余韻を噛みしめたハバイ。
「勝利の鍵は昨日のレグ1セカンドステージのペースにある。終始僕らより速かったアレクセイ(・ルキヤナク)には申し訳ないが、これもラリーだ。この勝利には運だけでなく、ここへたどり着くまでの大きな努力があったんだと言いたいね」
ハバイの後方8.4秒差に地元表彰台を決めたモーラが入り、ERC1ジュニア優勝のイングラムが総合3位。そして昨季もタイトル争いを展開し、今季からチーム・ヒュンダイ・ポルトガルに移籍したブルーノ・マガラエスが初日のセットアップ不振から4位にまでカムバックしている。
続く5月2~4日開催の2019年ERCシーズン第2戦もシリーズの名物イベント、ラリー・イソラス・カナリアスとなり、火山性岩石を含む舗装ステージは雨が降ってもグリップレベルが高く、ライントレースと正確なスピードコントロールが試される。


