WRC:2022年までのハイブリッド化目指すFIA、「選手権のレベルやコストに悪影響はない」
KERSから電動化技術の導入を開始し、現在は熱回生などの一歩進んだエネルギーマネジメント規定を導入するF1でも、その当初からコストこそが最も重要な論点となってきたが、現実はその懸念どおり2014年のERS-K、ERS-H導入以降は経済的体力に勝るメルセデスがシリーズを席巻する結果となっている。
これと同じように、WEC世界耐久選手権でもLMP1-Hに参戦しているのはハイブリッド技術でノウハウを持ち、同じくロードカー部門とのイメージ連携を狙い予算確保が実現できたトヨタのみとなっており、ヒュンダイ、シトロエン、フォード、そしてトヨタが覇権を争うWRCでも同様の状況が再現される可能性はある。
「我々としては現在のマシンコストと同等レベルの予算規模に留まりたい。だから、費用対効果の高いハイブリッド・ソリューションを必要としている。他のカテゴリーでも見てきたように、マニュファクチャラーの自由な開発競争によってその開発コストを引き上げるような真似はしたくないんだ」と続けたマトン。
「そしてそれは、コンペティションのレベルとパフォーマンスの分野に関しても同様のことが言える。その両面においても、ハイブリッド化された時代でも現在の内燃機関WRカーと同じレベルの性能と迫力を維持したいと考えている」
ハイブリッド車両の技術詳細まで明かされるかは定かではないが、6月14日に開催される予定の世界モータースポーツ評議会(WMSC)では、2021年まで有効の現行WRカー規定に対しアドオンでの電動キットを採用するか、指定サプライヤーからの供給選択制にするかなどを含め、電動化に向けた議論が交わされる見込み。
「我々は現在の選手権のように各マニュファクチャラーの戦力が拮抗した状態を維持したい。そうすればトヨタが新規参入してきたときのように、すばやくチャンピオンシップ争いに適応できるようになる」
「そうした新規マニュファクチャラーの参戦を見てみたいし、願わくばその後の2年間でチャンピオン争いを繰り広げる状況になってほしい。それこそが我々の持つ選手権の意義であり、今後も続けていくべき仕事だと思っている」