ERC組でも現王者の“ロシアン・ロケット”ことアレクセイ・ルキヤナク(シトロエンC3 R5/セインテロック・ジュニア・チーム)は、初日総合2位を死守するも「かなり悪い」午前の走りを経て、SS5でパンク、SS6ではブレーキのオーバーヒートに見舞われる困難な1日となった。
その背後、総合3位の位置にはロセッティの離脱以降、一時はERC選手権首位のウカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5/スポーツ・レーシング・テクノロジーズ)がつけるも、彼もクラッシュで戦列を離れると、このイベントから新型フォード・フィエスタR5を持ち込んだオレンジ1 Mスポーツ・ラリー・チームのシモン・カンペデッリが、SS2でのパンクで40秒を失いながらも、総合9番手から3位にまでカムバック。新型モデルながら、レグ2の巻き返しでデビューウインに望みをつなぐ力走を見せた。
そのカンペデッリがSS7で新型フィエスタ初のERCステージウインを記録して始まったレグ2は、同じくイタリア人のクルニョラが、SS8以降SS16まで驚異の9ステージ連続トップタイムをマーク。前日のパンクから怒涛の巻き返しを図ると、SS13のステージ中盤ではバッソがジャンクションをオーバーシュートし24秒のタイムロス。
これで2番手ルカヤナクに大きくギャップを詰められるも、約3秒のタイム差を維持してバッソが首位フィニッシュ。約6年ぶりのERC勝利とイタリア選手権でのタイトル争いを優位にする総合優勝を獲得。さらにラリー後には、2位のルカヤナクに1分のタイムペナルティが加算され、無情にも総合4位まで後退してしまうことに。
代わってカンペデッリが新型フィエスタのデビュー戦で殊勲の2位表彰台。3位にも怒涛のラッシュで全16SS中13ステージでトップタイムを奪ったクルニョラが10番手から奇跡のカムバックを果たし、イタリア人ドライバーがトップ3を独占する結果となった。
一方、このローマ・ラウンドでERC3戦目を迎えたSTARDの新井大輝(シトロエンC3 R5)は、レグ1を11番手で終えると、翌レグ2もERCレディス・トロフィー勝者のエマ・ファルコン(シトロエンC3 R5)やACCRチェコ・ラリー・チームのヴォイティエフ・スタイ(シュコダ・ファビアR5)らとのバトルを繰り広げ、一時はポジションを上げる走りを披露するが、惜しくもトップ10圏外の総合11位でラリーを終えている。
続く2019年ERC第6戦は、8月16~18日開催のバウム・チェコ・ラリー・ズリン。チェコの首都プラハから南に300km離れたモラビア南部の大学都市を拠点に、天候により難易度が大きく変化する荒れた高速ターマックでの勝負が繰り広げられる。



