更新日: 2019.10.15 13:41
電動TCR『ETCR』と電動ラリークロス『Projekt E』のEVキット・サプライヤー決まる
一方、クプラ・レーシングやヒュンダイ・モータースポーツがすでに独自車両の開発と供給をアナウンスしている電動ツーリングカー選手権『ETRC』に向けては、中国や北米を中心に事業展開するMAGELEC Propulsion(マグエレック・プロパルション)社が、共通モーター、インバーター、ギヤボックスの設計・製造、供給を担うことが発表されている。
マグエレックは、これまでABBフォーミュラE選手権にコンセプト草案段階から関わった経歴も持ち、現在も自動車産業向けのドライブトレイン関連商品やEV関連技術の製造に携わっている。
「我々のチームが、電動化製品や技術をETCRに供給し、このシリーズに貢献できることを光栄に思う」と語るのは、同社の創業者兼CEOであるクレイグ・ダニエル。
「これまでの経験やノウハウを通じて、WSCグループのチームと協力して電動モータースポーツの進歩を継続し、今後主流となる電動車両への技術転化を促進していきたい」
また、パートナー契約を決めたWSC Ltd.のマルチェロ・ロッティも「クレイグ・ダニエルの起業家としての成功は、この先駆的なカテゴリーを立ち上げるのに適したパートナーであることを物語っている」と、歓迎の言葉を述べた。
「会社の規模と能力がそれをもっともよく証明している。マグエレックのパワートレイン・システムと、ETCRのような新しい野心的なブランドを関連付けるこの契約を誇りに思うよ」
「我々は、新しい形式のモータースポーツを成功裏に成長させるための鍵は、コスト管理にこそあると考えている。そのコストコントロールの概念を深く理解している人物と協力できることは、大変喜ばしいし心強いね」
また10月第2週に入り、クプラ・レーシングのアンバサダーとして初のトラックテストに臨んだマティアス・エクストロームは、初ドライブの『セアト・クプラe-Racer』について「サーキットのスローコーナーからフルパワーに到達したときの感覚は、なんとも言えない素晴らしさだった」と振り返った。
「マシンが奏でる”サウンド”に慣れるのには、まだしばらく時間がかかりそうだね。これまでドライブした他のどのマシンと比べても静かで、エンジンの鼓動は感じられない。その点、僕もどちらかというと非常に”エモーショナル”なドライバーだからね」
「それに、各ラップごとにエネルギーマネジメントに細心の注意を払わなければならない。電動ツーリングカーにとって、エネルギーマネジメントはスピードとほぼ同じくらい重要な意味を持っているんだ」
スペインのバルセロナ郊外にあるモンメロ・サーキットで、670馬力を発生するクプラの初テストを終えたエクストロームは、今後もマシンの熟成に全力を注いでいくと決意を語った。
「僕の経験や、マシンのステアリングから伝わってくる感触をフィードバックすることで、クプラ・レーシングの開発作業を支援していきたい。より速いマシンにすると同時に、より安定してドライビングできるクルマにしたいんだ」
「そしてこのe-Racerでコンペティションの場に臨んだときは、もちろん勝利を狙いたい。そのためには充分な準備が必要だ。僕にとっては勝利こそがすべて。それはこのEVマシンでも変わらないし、今の夢はETCRでもタイトルを勝ち獲ることだ。このグローバルなモータースポーツの潮流で、クプラをポディウムの頂点に連れて行きたいね」