しかし、このファイナルで4位に入ればeシリーズチャンピオンが確定するティミーは、この若手有望株のアタックを見極め4周目には軽い抵抗のみで前に出すと、その背後にはブロンクビストが迫ってくる。
ここで追い抜きを逸ったブロンクビスト、そして“ブレーキテスト”のようなスローインを見せたティミーは、シケインで追突しそのまま最終コーナーの壁に張り付くように接触。WorldRX王者をアウト側のウォールに押しやったブロンクビストは、このアクシデントでレースタイム5秒加算のペナルティが課せられる。
5周目の最終コーナーでもパイエを弾き飛ばして3番手に浮上したブロンクビストは、首位SVGには届かなかったものの、ファイナルラップでジョーカーを消化したペレルも捕らえて2位でチェッカー(タイム加算で最終リザルトは3位)。そしておなじくジョーカーに回ったパイエをかわしたティミーが4位でフィニッシュラインをくぐり、見事に初代eシリーズチャンピオンの肩書きを加える結果となった。
「今は本当に誇らしい気分だ。この長いオフシーズン、こうしてドライビング感覚を養い、繊細かつ鋭敏な状態を保つのに、eスポーツは最良の方法だったと思う。素晴らしいレースもあり、エキサイティングな瞬間も経て、こうしてタイトルを手中にできて最高だよ」と、喜びを語った現実と仮想世界の双方を制した王者ティミー。
「とくにシェーン(ヴァン・ギズバーゲン)は、このシリーズでスピードスターぶりを見せつけた新星だが、これは本当に驚異的なことだと思う。僕自身もこのあと少しだけタイトルのお祝いと余韻に浸り、すぐに現実世界の準備を進めたい。スウェーデンのWorldRX開幕戦に向け、忙しくなるだろうね!」
そして毎ラウンド別クラスとして開催されてきたプロのシミュレータードライバー10名による勝負は、現『DiRT Rally 2.0』世界王者でもあるキリアン・ダロルモが3連勝を飾り、こちらもタイトル獲得を決めている。

