続くレグ2は優勝争いの2台がくっきり明暗の分かれる展開となり、朝のSS10からベストを記録した首位ミケルセンは、SS13ニーレジュハーザのスーパーSSのみ最速タイムでアピールすると、そのほかのステージはタイヤ評価に集中する余裕でフィニッシュランプへ。「これで2020年は今のところ無敗だね(笑)」と、今季初ラリーで最高の結果を手にし、ターマックでの速さとそのドライビングの才能がまったく色褪せていないことを満天下に示した。
一方、チームMRFタイヤ初の表彰台を確実なものにするため、慎重なドライブを続けていた2番手ブリーンは、SS12で突如ヒュンダイi20 R5のエンジンが息絶え、すべての努力が水泡と帰す絶望の結末となってしまった。
「残念ながらループの第3ステージ終わりから数km離れたところで、エンジンが故障した。こういうとき指をさして誰かを責める意味はないよ。警告はほとんどなく、警告が出たときにはすでに被害が出ていたと思う」と肩を落としたブリーン。
「正直に言って、今日の課題はクルマをフィニッシュまで運ぶことだけで、それはイージーなことだったはずだ。ステージ上ではとても快適にドライビングできたし、皆の努力を思うと本当に残念だ。でも、MRFタイヤの進歩は間違いなく印象的で、今後も機会が訪れるよう努力を続けていく」
ブリーン脱落で2番手に上がった2戦連続ERC1勝者ミュンスターの背後、地元で3位表彰台が期待されたノルベルト・ヘルツェグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)は、残り2ステージでパンクに見舞われ万事休す。6位に沈んだ4度のハンガリー王者に代わり、ヘルツェグ同様「道の真ん中を走ったのに原因がわからない」とこぼしつつ、前日のパンクから復帰したソルベルグがSS12、16でベストを記録して4位に。スペインのエフレン・ヤレーナ(シトロエンC3 R5)が、その4.5秒前方で最後のポディウムを獲得した。
そしてもうひとり。前日のペナルティで総合18番手に沈んでいた失意の元チャンピオン、ルカヤナクはレグ2への出走を決意すると、ミスをしたコドライバーのドミトリー・エレミエフをフォローするかのように、4ステージを奪う速さでロシアン・ロケット健在をアピール。チャンピオンらしさを証明し、13位までポジションを回復して競技を終えている。
「この日の最速を勝ち獲ったという点で、今日のミッションは完了だ。リスク管理を学び、スピードと一貫性に集中した。本当に気持ちよかったね(笑)」と、自身のパフォーマンスに満足げなルカヤナク。
続く2020年ERC第5戦は、スペインの大西洋沿岸に浮かぶ火山帯の一大観光地を舞台とした『ラリー・イソラス・カナリアス』が11月26~28日に開催予定。グラン・カナリア島の起伏に富んだワインディングは、アップダウンを繰り返しながらも火山岩の迫るコーナーを正確にクリアするべく、速度とラインに細心の注意を払い、適切なセットアップとペースノートの精度確保が求められる。


