■シトロエン:出戻りなるか
オジエがデビューチームであるシトロエンに戻るという選択をするだろうか。私にはそう思えない。
彼のWRCでのキャリアは当時のシトロエン代表であるオリビエ・ケネルに見出されたところから始まった。2009年にオジエがWRCデビューした当初からケネルは彼を支持していたが、チームメイトであるセバスチャン・ローブのチーム内での圧倒的な地位や上層部のローブ優遇により、ナンバーワン待遇を求めるオジエは2011年末でシトロエンと袂を分かった。
現在のシトロエン代表であるイブ・マトンも、オジエが袂を分かつこととなった原因をすぐに指摘している。
シトロエンは、オジエの行き先として、多くの人が真っ先に思い浮かべるだろう。フランス人のワールドチャンピオンドライバーがフランスのワールドチャンピオンチームに復帰するのだから。
しかしながら疑問もある。マトンがどのようにして資金を工面するかだ。チームの懐はかつてのように暖かくはない。
加えて、シトロエンCEOのリンダ・ジャクソンがオジエをチームに引き戻すために、資金をみつけ、もう少しだけ努力をする覚悟があるのかどうかもまだ分からない。
シトロエンのエース格で、唯一オジエに対抗できるドライバーであるクリス・ミークは、驚くべきことにオジエ加入を歓迎するという。
ミークは「あくまで個人的な意見だが」と前置きした上で、「オジエが他所で僕たちよりポテンシャルがありそうなマシンに乗っているよりも、チームメイトとして同じマシンに乗っているほうがいいね」と述べた。
■ヒュンダイ:ここに空きはない
これはもしかすると一番簡単ですぐに答えが出る問いではないだろうか。
オジエにとって、ヒュンダイ加入はもっともあり得ない。ヒュンダイのチーム代表であるミシェル・ナンダンはすでにティエリー・ヌービル、ヘイデン・パッドン、それにダニ・ソルドと契約を結んでおり、この3名のラインアップを向こう2年間は維持すると語っているのだ。
そして上記3名との契約は、まもなく効力を持ち交渉は終結する。入り込む隙はほとんどない。
オジエとふたりの同僚が散り散りになるかどうかに関わらず、フォルクスワーゲンの撤退は来シーズンのヒュンダイにとって少なからずプラスの影響をもたらすと言ってよい。