明けた日曜は、最初のステージであるSS7からイタリア国内3冠を誇る“帝王”バッソがスパートし、首位とのマージンを3.4秒にまで詰めていく。一方のクルニョーラは、ヒュンダイi20 R5のリヤアクスルに問題を抱えた上、SS8のフィニッシュ手前5km地点で左フロントタイヤのパンクに見舞われ万事休す。
このステージで28.7秒のギャップを稼ぎ首位浮上に成功したバッソは、残るステージをタイムマネジメントに徹する老獪な走りで走破し、SS13終了時点で35.8秒差を持って今季ERC初優勝を手にした。
「すべてがうまくいったね。とてもトリッキーなラリーだったけど、今は最高にハッピーだ」と喜びを語った勝者バッソ。「午後のループは長く、引き続き集中する必要があった。たとえクルニョーラやルカヤナクに問題が発生していたとしても、それがいつ自分の身に降りかかるかは分からないからね。とにかく慎重に慎重を期したよ」
話題に上がったそのルカヤナクは、午前最後のループステージでワイドになり、コースサイドのグラベルに乗ると、大きくスライドしたシトロエンはリヤから立木に激突。クルーに怪我はなかったものの、久々に“ロシアンロケット”らしい結末でラリーを終えた。
代わって3位表彰台争いを繰り広げたのは2019年のERC3ジュニア王者でもあるエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo/ラリー・チーム・スペイン)と、ハンガリー出身ノルベルト・ヘルツェグ(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)のふたり。
最終SS前まで5.3秒差でポディウム圏内を死守していたヤレーナだったが、ファビア・ラリー2 Evoとの初ターマック参戦で「最後はタイヤがなくなった。これが今の僕にできる精一杯だった」と、わずか0.3秒差での逆転を許す悔しい結果に。
一方、着実に総合順位を上げてきていたミケルセンは、トラブルから2輪駆動と化したファビアに手を焼き最終ステージでスピン。「ここまでのテストは非常に限られていたし、ターマックで必要な攻撃性とスピードをコーナーで発揮するコンデイションではなかった」と総合8位止まり。同じくMRFタイヤ装着のブリーンも総合9位でラリーを終えている。
今戦がWRC第3戦クロアチアで負った怪我からの復帰戦となった新井大輝(フォード・フィエスタ・ラリー2)は、レグ2でエンジンの不調に見舞われSS7でストップ。SS9でリタイアを喫した。新井はその原因が熱害によるECUの破損であることを自身のTwitterで明らかにしている。
ERCの次戦第4戦はふたたびのターマック・ラリーが続き、チェコの首都プラハから南に300km離れたモラヴィアの大学都市を拠点とし、ラフな舗装路を特徴とする『バルム・チェコ・ラリー・ズリン』が8月27~29日に争われる。


