「このイベントは本当に……なんてワイルドなんだ!」と、レース後のプレスリリースで語ったクラス7勝者のロッシ。
「それがどれほどの困難かを説明することさえできないよ。同じぐらいステージは混沌とし、素晴らしく恐ろしい経験だった。このトラックで延々と続く山々や砂漠を真夜中にドライブし、海から流れ込む霧のなかを、他の何百台ものクルマとその巻き上げるダストとともにコントロールすることは、僕が今まで経験したことのないものだった。正気の沙汰じゃないぐらい、本当に……クールだったよ!」
往年のパーネリ・ジョーンズ、ライアン-ハンター・レイ、リック・メアーズ、ダニー・サリバン、そしてバディ・ライスらに加わり、このバハ1000に出場した6人目のインディ500優勝者となっていたロッシは、今回の結果によりデイトナ24時間、インディ500、そしてバハ1000の3イベントを制覇した最初のドライバーとなった。
「ホンダとHPDとともに、3度目のチャレンジが果たせて光栄だ。ホンダにこの非常に大きな勝利をもたらす一員になれたのは、僕にとっても特別なこと。(代表の)ジェフにはトラックに乗らせてくれたことを感謝したいし、チームの(ナビゲーターを務めた)エヴァン・ウェラーは本物の『男』だ。そしてホンダ・オフロード・レーシングチーム全体が最高の努力を続けていたよ」
2019年にはインディカーのチームメイトでもあるジェームズ・ヒンチクリフとともに、オーストラリア大陸最高峰のツーリングカー選手権であるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーにもワイルドカード参戦し、最大の祭典『バサースト1000』にも挑戦した。
そんなロッシは、最終的にNASCARのカップ・シリーズとダカールラリーで自らの腕を「試してみたい」と語り、今後の“3刀流”に含みを持たせた。
「ある時点でダカールに挑戦したいと思っているけど、あれはツール・ド・フランスのようなもので、その意味でもバハとは大きく異なるんだ」と続けるロッシ。「あちらはツール同様にステージを戦い、その合間には休息日が設けられる。一方のバハは19時間のスプリントで、ダカールは2週間以上の長丁場。非常に異なるタイプのレースだし、車両のスペックにも大きな幅がある」
「それにもうひとつの懸念は、ナビゲーションが非常に難しいことだ。一部のパートでは、船乗りが星の導きで移動するのとほぼ同じように星を頼りにナビゲートする必要がある。もちろん、地図だけのGPSなしでね。まったく別の挑戦になるだろうけど、いつかはチャレンジしてみたいと思っているよ」

