「コンディションが本当にクレイジーだったから、これはキャリアすべての中でもっとも困難な勝利のひとつだった。僕らにとってとても良い週末になったね」と落ち着いた表情で、記念すべき10勝目の喜びを噛み締めたコペツキー。
2004年に賞典外のWRカー、シュコダ・ファビアWRCで出場し総合優勝を飾った記録も加えれば、前人未到のズリン11勝目を飾った男は、パワーステージのフライングフィニッシュ直後に見られるおなじみの“セレブレーション”を控え、クルマのルーフに登ることなく喜びを表現し、長年ともに戦うシュコダとチームに敬意を表した。
「それ(10勝到達)はただの数字に過ぎないんだ。もちろん、ここで成功を収めることができて本当にうれしいが、それはすべてチーム、コドライバー、そして僕の周りにいる人々のおかげなんだよ」と、その態度や行動だけでなく言葉でも謙虚さを示したラリーウイナー。
「成功には非常に多くの側面があり、条件が本当にクレイジーだったから、さっきも言ったとおり、これはおそらくもっとも困難な勝利のひとつだったと言わざるを得ない。とくに日曜はすべてのステージで本当に雨量が多く、路面状況はつねに変化していた。濡れた条件でインカットすれば、たちまち泥が路面に出てさらに滑りやすくなるしね」
そのウイナーの背後には、初日からマイスターへの挑戦を続けた地元マレシュに続き、ワグナーが値千金の3位表彰台を獲得。一方、新チャンピオンとしてラリーに挑んだヤレーナは、土曜早々のSS2でクラッシュを喫し、コドライバーのサラ・フェルナンデスとともに自力で車両から降りたものの、予防措置のためにメディカルに搬送される結末となった。
しかしチームMRFタイヤとしては、最終的に5位に入ったノルベルト・ヘルツェグ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)以下、シモン・カンペデッリ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)、ハビエル・パルド(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)らがポイントを持ち帰り、晴れてチームのチャンピオンシップタイトルも確保した。
「これは真に夢の実現だが、それは大変な作業だった、本当に本当に大変な作業だったんだ」と喜びを語ったMRFのCEOを務めるヴィヴェック・ポンヌサミ。
「人類の歴史上……とくにラリー競技において、インドの会社がFIAチャンピオンシップを獲得したことは1度もない。それどころか、今季までインドの会社がFIAのヨーロッパ選手権で勝ったことさえなかったんだ。ここ欧州で確立されたチームと競争し、結果を家に持ち帰ることができるのは、非常に誇りに思う瞬間だ」
続くERC第8戦は、既報のとおりシーズンフィナーレとしてWRC世界ラリー選手権とジョイント。10月20~22日に開催されるスペイン・カタルーニャ地方の名物イベント『ラリーRACC・カタルーニャ-コスタ・ドラダ』が2022年の最終戦として指名されている。



