「最初にアレハンドロ(アガグCEO)やエクストリームEのチームとプログラムを作成するというアイデアについて話し合ったとき、僕らは皆、それが真の変化に繋がるものでなければならないことに同意した。このレーシング・フォー・オールはまさにそれを実現していると信じている。このプログラムがパドック全体で採用されるのを見るのがとても楽しみだし、最初の候補グループが何を達成し続けるか、本当にワクワクするよ」
そのハミルトンと課題意識を共有したアガグCEOは「我々もハミルトン・コミッションの調査結果を全面的に支持しており、チームと協力して将来の優秀なエンジニアやメカニックに明確な道筋を提供したい」と意欲を示した。
「このレーシング・フォー・オールの目標は、人種、性別、社会的経済的地位などの要因に関係なく、次世代のレースメカニックやエンジニアが、モータースポーツの最高レベルに到達できるよう包括的な考え方と幅広い採用パイプラインを浸透させることだ」と続けたアガグ。「もちろん、特定のコミュニティに存在する障壁を減らすことを含めてね」
こうしたシリーズからのアナウンスに際し、かつてF1でチームメイトを務めた2016年のワールドチャンピオン、ニコ・ロズベルグも「これこそが、シリーズに参加する主な魅力だ」と賛同するコメントを寄せた。
「環境や社会問題への取り組みに続き、モータースポーツへの参入障壁を取り除くことを目的とした新たな進歩的イニシアチブが実を結ぶことに興奮しているよ。さまざまな経験や背景、見解とスキルを活かしたスポーツでもあるし、より多様な才能をチームに迎えることで、僕ら全員が恩恵を受けることができるからね」と、シリーズではロズベルグXレーシングを率いて初代チャンピオンも獲得したロズベルグ。
同じく、2009年のF1ワールドチャンピオンでJBXEを創設したジェンソン・バトンも「長年この世界に携わってきた僕としても、モータースポーツとエンジニアリングにおける平等の推進がいかに重要であるかを、直接目の当たりにしてきた」と、プログラムの意義を認める。
「シリーズが、この問題をそのような優先事項としているのを見るのは励みになるね。性別、人種、背景に関係なく誰もが参加できるべきであり、このレーシング・フォー・オールがこれを標準にするための大きな一歩となるはずさ」
すでに、今季からシリーズ参入を果たしたNEOMマクラーレンXEチームなどは、前戦イタリア・サルディニアのダブルヘッダーで4名の女子学生アンバサダーを招待するなど、STEM科目を専攻するエンジニア候補生を採用し、今後は各チームもシーズン3に向けて本格的なプロセスを積極展開していくことになる。
また、2022年第4戦のチリに向け南米上陸を果たした一向だが、ハミルトン率いるX44は同イベントを前に世界中の温室効果ガスと排出量を削減することを目的とした炭素クレジット企業“Vida Carbon(ヴィダ・カーボン)”をタイトルスポンサーに迎えると発表。同戦より新たに『X44ヴィダ・カーボン・レーシング』のエントリー名で戦うこととなった。

