その落胆で火がついたチャンピオンは、明けた日曜のスーパーポール・シュートアウトで、ライバルに対し約1秒も速い驚異的ペースを披露すると、プログレッションやセミファイナルでも“アンタッチャブル”ぶりを見せつけ、誰もフォルクスワーゲンRX1eのテールに迫ることさえできないスピードを維持。
ポールポジションを獲得して教科書的なスタートを切ったファイナルでも、前日勝者のティミーが率いる追跡軍を容赦なく引き離し、パックから5秒以上のマージンを築いて今季8勝目を飾った。
「今日のこの結果をとても誇りに思うよ。僕らはこのクルマでゼロから始めたんだ。それはチームみんなの赤ん坊であり、非常に多くの人々がこのプロジェクトに人生を捧げてきた」と、思わず込み上げる感情を抑えるかのように語った5冠王者クリストファーソン。
「これはまさにチームの努力であり、その旅に参加できたことを本当にうれしく思う。今日のフォルクスワーゲンは飛ぶように速く、決勝でそのペースとポテンシャルを披露できて本当に楽しかった。5周全開でプッシュしたしね。すべてのドライバーはそんなクルマをドライブすることを夢見ていると思う」と続けたクリストファーソン。
「5回目の世界タイトルなんて信じられないほどで、理解するにはしばらく時間が掛かるだろうね。僕のガールフレンドと息子が、チャンピオンシップに勝つのを見るためここに来たのは初めてで、この特別な瞬間を共有できたのも最高だ!」
一方、シリーズの併催イベントとして開催されてきた電動ワンメイク戦『FIA RX2eチャンピオンシップ』では、ベルギー出身のヴィクトル・ブランクスが今季を象徴する安定感で2位表彰台を獲得し、2022年のドライバーズチャンピオンに。
ゲスト参戦で注目された2輪、4輪の各世界選手権経験者ニック・ハイドフェルドとカルロス・チェカも、最初のヒートでは数秒単位で遅れたものの、その後はセッションごとにみるみる差を縮め、セミファイナルではラップあたりコンマ数秒差まで迫るさすがの適応力を披露。ファイナル進出こそ逃したものの、両者ともに電動ラリークロスを満喫してカタルーニャを後にしている。
引き続きダブルヘッダーとなる2022年WorldRXの最終第10-11戦は、約2週間後の11月12~13日にドイツ・ニュルブルクリンクで争われる。


