そして17歳の誕生日を迎えた翌日、10月2日に運転技能試験に合格し晴れて免許を取得。これによりWRC参戦への道が開けると、フォード・フィエスタR5で同年のラリーGBに初出場。続く最終戦オーストラリアではWRC2クラス出場が1台となり、完走=クラス優勝の条件だったなか総合でも10位に喰い込み初ポイントも獲得した。

 2018年からのWRC本格ステップアップに際し、前出の敏腕マネージャーであるヨキはシュコダ・モータースポーツへの加入を選択。クラス最多出走の主力機種でもあるファビアで、競技マイレージを重ねることがトップカテゴリーへの最短距離だとの判断だった。

 この選択が功を奏し、同年のWRC2では2勝を挙げてランキング3位に入ると、続く2019年には新設のWRC2“プロ”でガス・グリーンスミスやマッズ・オストベルグらとの勝負を繰り広げ、シーズン4連勝も含む5勝で早くもタイトルを獲得。ステップアップ・ラダーとはいえ、19歳での世界チャンピオンという史上最年少記録を樹立した。

 すでに2019年開幕前の段階で「カッレはトップカテゴリーにデビューする準備が整ったと感じている」と語っていた敏腕代理人は、このシーズンを通じて同じく“フィンランド・コネクション”のヨキ門下生、マキネンとの話し合いを始めており、早くも2020年にはセバスチャン・オジェ、エルフィン・エバンス、そして勝田貴元の僚友としてTOYOTA GAZOO Racing WRT(ワールドラリーチーム)入りが決定。ここに史上最年少のWRCファクトリー契約ドライバーが誕生した。

 その後の活躍は誰もが知るとおりで、2021年の第7戦エストニアでは20歳と290日でWRC初優勝を飾り、同じく“ヨキ門下生”でもあるヤリ-マティ・ラトバラ新代表が維持していた22歳313日というWRC史上最年少優勝記録が約13年ぶりに更新された。

 そして2022年には、誕生日を迎えた翌日の10月2日にニュージーランド戦を制して、22歳と1日で史上最年少WRCチャンピオンに。故マクレーが27年間保持していた記録も打ち破ってみせた。

 そのカッレだが、タイトル獲得の同年にサンマリノで開催された『ラリー・レジェンド2022』にラトバラ代表とともに出場。チーム代表が所有する秘蔵コレクションの中からST185型セリカGT-FOURを拝借したカッレは、同じくTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)カラーのST165型をドライブするラトバラがグリップ走行気味にドライブするなか、豪快なフェイントモーションから深いアングルをつけたドリフト走行に移行する妙義を随所で披露し、チャンピオンとしての技量とグループAマシンをあっという間に手懐ける対応幅の広さを見せつけた。

 また、その幼少体験から納得できるとおりドリフトそのものにも興味を示し、年間6戦で争われる2022年DMECドリフト・マスターズ・ヨーロピアン・チャンピオンシップの開幕戦にもゲストとして参戦。元D1グランプリ王者の斎藤太吾が製作したトヨタGRスープラで華麗な追走もこなすなど、年齢相応の“クルマ好き”ぶりも発揮する。

 日本のラリーファンとしても、今後のWRCで黄金時代を築く可能性が高い新世代チャンピオンの走りを、このラリージャパンで目に焼き付けておく必要がありそうだ。

WRC昇格前夜から「プレッシャーは自分自身からのものだけしか感じない。なぜなら常に今よりもっと良くなりたいからね」と語り、精神面の強さも兼ね備えていた
WRC昇格前夜から「プレッシャーは自分自身からのものだけしか感じない。なぜなら常に今よりもっと良くなりたいからね」と語り、精神面の強さも兼ね備えていた
自身22歳の誕生日となった翌日、22歳と1日で史上最年少WRCチャンピオンに。故マクレーが27年間保持していた記録も打ち破ってみせた
自身22歳の誕生日となった翌日、22歳と1日で史上最年少WRCチャンピオンに。故マクレーが27年間保持していた記録も打ち破ってみせた
元D1グランプリ王者の斎藤太吾が製作したトヨタGRスープラで華麗な追走もこなすなど、年齢相応の“クルマ好き”ぶりも発揮する
元D1グランプリ王者の斎藤太吾が製作したトヨタGRスープラで華麗な追走もこなすなど、年齢相応の“クルマ好き”ぶりも発揮する
これが伝説の始まり。今後のWRCは“セバスチャンズ”に続く、ロバンペラの黄金時代到来を予感させる
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