続いて第5戦、第6戦のダブルヘッダー・イベントとして開催されるフェニックス・ワイルドホースパスの週末に向け、今季も激動の38戦を戦い抜いた元カップ王者が、モーター出力約800kW(約1070PS)、最大トルク1100Nm、0-100km/h加速わずか1.4秒をマークする新開発電動車両『FC1-X』の初テストを実施し、昨季以来のカムバックに向けた準備を整えた。
「昨年フロリダの最終戦にも(スバルWRX STIで)挑戦したけど、パドックにはのんびりとリラックスした雰囲気も漂い、本当に居心地が良かったよ」と振り返ったヘンドリック・モータースポーツの大エース。「でもそれが僕にとっては普通じゃない世界で、アスファルトとウォールに囲まれたNASCARカップとは何もかもが異なる。それに今回はエレクトリック“SUV”による勝負だからね」と続けたエリオット。
「正直なところ公道でもあまり(EVを)運転したことがないから、慣れるまで少し時間が掛かったが、これは本当に大きなRCカーのようなもので、ノイズなどがまったく聞こえないのはちょっと“ワイルド”だね(笑)。だからスライドやジャンプに加えて、その部分でも調整しなければならなかった。でも本当に楽しんでいるし、週末を通して改善し続けたいと思っている。どうなるか見てみよう」
そう語ったエリオットと、同じくNASCARに専念する前にはラリークロスでキャリアを積んでいたチーム・ペンスキーのシンドリックともに、予選ヒートで健闘を見せたものの、後者はコナー・マテル(バーモント・スポーツカー)に敗れ、前者は予選で躍進を見せたオリバー・ベネット(Xiteエナジー・レーシング)の後塵を拝し、ファイナル進出はならず。
そのベネットは、今回バトンに代わって僚友を務めるWRC世界ラリー選手権優勝経験者のクリス・ミークとともに、ケビン・エリクソン(オルスバーグMSE AB)らを撃破したものの、マテルとの接触やシンドリックとの激しいクラッシュでセミファイナル失格処分に。最終的に予選最速を記録したパストラーナが僚友マテルを従え、今季複数勝利を挙げた最初のドライバーとなった。
この後も年跨ぎの2022-23年シーズンとして北米開催の続くNitroRXは、新年1月21~22日にカナダのケベックで第7戦の開催が予定されている。


